外傷性頚部症候群 治療費打ち切り通告後弁護士が受任し後遺障害14級が認定され317万円の支払いを受けたケース

 30代会社員の被害者Vさん(男性)は、停まっていたタクシーの左横を自転車で通過しようとしたら、突然タクシーのドアが開き、ドアが自転車に衝突しました。Vさんは自転車とともに転倒しました。

 本件では被害者の過失はゼロです
 
このタクシーは、停車中ハザードはつけていませんでした。その他、特にドアが開くことを予期させるような事情もなく、Vさんの自転車がドア付近まで来た時にドアが突然開いたという交通事故でした。 
 本件で、Vさんはタクシーのドアが開くことを予測することはできなかったといえ、かつ、衝突の発生を避けることはできなかったといえますので、Vさんには過失がないことになります。実際、本件ではVさんに過失がないことを前提として示談が終了しました。
(このようなドア開放事故での過失割合については色々な修正要素があるので、ケースによって結論が変わる可能性があります。もし、同様の事故の被害にあわれて疑問のある方は当法律事務所にご相談ください。)

 

  • 治療状況

 Vさんはこの交通事故で近くの病院に救急搬送されました。Vさんは体の痛みを感じていましたが、意識には異常がありませんでしたので、搬送先の病院ではきちんと事故状況を伝えておられました。

 初診の病院で事故状況を伝えることの重要性 
 Vさんが救急搬送先の病院で事故状況をきちんと伝えておられたことは、自賠責様式の診断書に記載があったことからわかりました。被害者が自転車に乗っていて交通事故にあった場合、被害者自身が転倒したかどうかというのは、後に痛みやしびれなどの症状が残り後遺障害の問題になった場合に非常に重要な事項になります。つまり、そのような症状が残るほど体にエネルギーを受けた事故であったかどうかを判断する点で重要になります。
 
後遺障害だけの問題ではなく、治療する医療機関としても、適切な治療をするためには、受傷・症状がどういう原因で起こった可能性があるのかを把握する必要があるからです。
 
本件でVさんは自分が衝突で転倒したこともきちんと病院に伝えておられました。

 
 事故の翌朝(事故は夜間でした。)、Vさんは、くびの後ろの痛みを感じ、別の病院に通院され、その後、個人開業の整形外科医院に通院されました。
 Vさんはくびと腰の痛みが続き、整形外科医院でリハビリを継続されました。どうも飲み薬に恐怖感があったことから投薬は外用薬のみでした。

 

  • 当法律事務所弁護士受任

 交通事故から約5ヶ月余りが経過した頃、相手方保険会社が治療費の打ち切りを通告してきました。Vさんは当法律事務所の無料相談にお越しになりました。
 当法律事務所弁護士は、事故状況、通院状況、症状の様子をお聞きし、特にくびの痛みが継続しているということでした。
 当法律事務所弁護士がご依頼をお受けし、相手方保険会社と話をし、あと1ヶ月治療を継続することになりました。
 また、当法律事務所弁護士は、無料相談時に、頚椎のMRI検査が実施されていないことがわかりましたので、この点を指摘しました。相談後間もなく頚椎MRI検査が実施されました。

 

  • 後遺障害等級

 Vさんは通院しても症状が改善せず、結局後遺障害診断となりました。
 後遺障害診断の際の弁護士の同行はお断りされました。
 後遺障害診断書は、特に他覚異常は認めない、レントゲンやMRIも含めて有意な所見はないとの記載のみでした。
 当法律事務所弁護士は頚椎MRI画像のCD-Rを確認しました。よく見ると1カ所気になる点があったので(くわしい内容については省略させていただきます。)、この点は後遺障害等級の申し立ての際に指摘することにしました。
 後遺障害の申請は、当法律事務所が代理して自賠責保険会社に提出しました。

  後遺障害等級認定結果は、くびの痛みにつき、治療状況等が勘案され、後遺障害14級9号が認定されました。

 

  • 示談交渉

 Vさんのご意見をお聞きしたうえで、当法律事務所弁護士は、示談交渉を行いました。
 示談交渉自体は約3週間で終了しました。
 結果、最終で242万円の支払いを受ける合意ができました。
 後遺障害14級が認定されたことにより自賠責保険会社から75万円の支払いがありましたので、被害者は、合計 317万円(治療費を除く金額です)の支払いを受けることができました。

 被害者は症状がきついながらも何とか仕事には出ておられたことから休業損害はありませんでした。しかし、後遺障害慰謝料は110万円、後遺障害逸失利益は、交通事故前年のVさんの源泉徴収票記載の支払金額が、5年間、5%の労働能力を喪失したとする金額で合意ができました(かんたんに書いているかもしれませんが、当法律事務所弁護士は、5年間の労働能力喪失について、細かい主張と資料の提出をしました。)。

 

  • ひとこと

 本件は、弁護士のアドバイスがなかったらMRI検査が実施されなかった可能性も高いといえるケースでしたし、その他にもいくつか盲点がありました。
 弁護士のアドバイスがなかったら、本来認定されるべき後遺障害等級が認定されないという可能性も十分あることを知っていただければと思います。