後遺障害14級 交通事故証明書に記載のない自賠責保険からも支払いを受けたケース

このケースは会社員の30代男性の方が被害者でした。任意保険会社の請求だけでなく、自賠責は2社に請求をし、被害者の方にも労災保険の請求をしていただいた事案です。

 

事故状況

被害者は会社の業務中に乗用車助手席に乗車しておられました。

高速道路を走行中、ある車から脚立が落下し、その直後のトラックが止まり、その後、後続の3台の車が急ブレーキをかけました(この3台のうち、真ん中の車が被害者の車両でした。)。いちばん後ろのトラックが止まりきれず、被害者の車に追突し、その勢いで被害者の車もその前車に追突しました。

結局、4台の玉突き事故になりました。

高速道路での交通事故は、一般道よりも被害が大きくなってしまいます。
本件も例外ではなく、被害者の車の後部はグチャグチャになっていました。

幸いだったのは、被害者の車に乗っていた方はみんな骨折や脱臼はなく、捻挫・打撲の受傷にとどまったことです。

 

受傷、治療状況

被害車両の乗っていた方はみな近くの病院に救急搬送されました。
頸椎ねんざなどの診断がなされました。
被害者は、今まで全くなかったとても強いくびの痛み、手のしびれなどを感じ、その後も、自宅近くの整形外科などに、毎日のように通院リハビリを継続されました。

 

当法律事務所の無料相談

事故から約5ヶ月後に当法律事務所にお問い合わせいただき、無料相談にお越しになりました。
当法律事務所にお問い合わせいただくまでに他の法律事務所にもお問い合わせされたとのことでした。中には、後遺障害14級すら取り扱っていない法律事務所もあったとのことでした。

●当法律事務所ではもちろん後遺障害14級のケースも取り扱います。

被害者の方は、症状でつらいながらも、事故状況から、自覚症状、通院状況など、わかりやすく整理して資料にして無料相談にお越しになりました。

車の損傷写真やMRIのデータもお持ちになっていました。

お話をお聞きし、弁護士金田は、相当なエネルギーを後ろから受けたことがわかりました。事故直後からの被害者の症状がとてもきついことは、お話をしていてよくわかりました(きちんと通院にも行っておられました。)。
このような事情から、被害者の症状は長期にわたり残る可能性が高いと思いました。そうすると後遺障害の認定に注力していくことになります。

ただ、MRI画像を拝見すると、頚椎の配列がきちんとなっていて、変性もみられない、きれいな画像でした。

●弁護士金田の見立て 
本件は後遺障害14級の認定をめざしていくことになるが、画像上がかなりきれいなので、この点が割引にされるおそれがあると思いました。

 

当法律事務所受任、後遺障害14級の認定

相手方任意保険会社から被害者に、ちょうど交通事故から7ヶ月目の日で治療費を打ち切るという連絡がありました。被害者から連絡を受けた当法律事務所がご依頼をお受けすることになりました。

治療費打ち切りの日に後遺障害診断となりました。
主治医の先生は詳細な後遺障害診断書を記載されていました。
被害者から各資料をお預かりし、まず、後方から追突してきた車両がかけていた自賠責保険会社に対し、後遺障害等級認定の申し立てをしました。

MRI画像で特段の異常がなかったので心配しましたが、結果、頭痛、くびの痛み、手のしびれ、耳鳴り、めまい、嘔気などの症状が一貫して存在していることもあり、後遺障害14級9号が認定されました。

まず、この後遺障害等級が認定されたことにより、この自賠責保険会社から75万円の支払いを受けることができました。

 

労災保険の後遺障害等級の申し立て(障害補償給付)

本件は業務中の事故のため、労災保険の適用があるケースです。次に被害者には労災の後遺障害の申請をしていただきました(障害補償給付)。

●労災の後遺障害書式は?
弁護士金田は被害者に対し、事前に、自賠責様式の後遺障害診断書のほか、労災様式の後遺障害診断書もお渡ししておき、治療費打ち切りの日に両方の書式を整形外科医院にご持参いただき、記入をお願いしてもらっていました。
もちろん、両方の書式に記載される内容は全く同じになります。

ところが、担当労基署の方から連絡があり、本件はもう一本自賠責保険に請求できるそうなので、そちらの後遺障害申請をまず進めてほしいと言われました。

 

落下物があったために停止したトラックが加入していた自賠責保険会社に対する後遺障害等級の申し立て

労基署から聞き、相手方任意保険会社にも確認すると、本件玉突事故の直前に、走行していた車から脚立が落下したために被害車両の2台前を走行していたドラックが停止したことがわかり、このトラックにも過失があるような気配がありました。

しかし、交通事故証明書には、そのトラックの運転者の名前はおろか、自賠責保険会社も書いてありませんでした。

●落下物があり停止したトラックの運転者などの情報が交通事故証明書に記載されていなかった理由
落下物(脚立)と停止したトラックとの関係については本件玉突事故の直前に発生した物件事故扱いになったことがわかりました。そのため、本件玉突事故に関する交通事故証明書に記載されませんでした。

ただ、本件玉突事故の交通事故証明書には、「停止車両」という記載と車両番号が記載されていました。弁護士が調査をすると、どうもこの車両番号の車両がこのトラックであると推測されました。
そこで、弁護士は、弁護士法第23条の2に基づく問い合わせを計2回ほど行い、その結果、このトラックの事故当時契約関係にあった自賠責保険会社と自賠責証明書番号が判明しました。
そして、この自賠責保険会社に対し、後遺障害等級認定の申請請求を行いました。  

結果、この自賠責保険会社との関係でも後遺障害14級が認定されました。 

この自賠責保険会社からも75万円の支払いを受けることができました。

 

労災の等級認定結果

被害者の承諾を得て、2回目の自賠責保険会社の後遺障害等級認定結果を担当の労働基準監督署に連絡しました。その後、労災の等級も14級であるとの通知が被害者宛てに来ました。

ただ、すでに自賠責保険会社から合計150万円の支払いを受けており、労災から障害補償一時金の支払いはありませんでしたが(二重払いになるためです。)、特別支給金として定額部分の8万円と特別一時金として13万円余りが被害者に支払われました。

 

最終の示談交渉

後方から追突してきたトラックの任意保険会社と最終の示談交渉を弁護士が行いました。
最終、160万円の支払いを受ける合意ができ、示談が成立しました。
後遺障害逸失利益は事故前年の源泉徴収票に書いてある年収額を、5%、5年間失った金額で、後遺障害慰謝料は110万円で、それぞれ合意ができました。

結局、自賠責保険2社と任意保険から総額310万円の支払を受けることができました。