交通事故で脳挫傷、急性硬膜下血腫を受傷 後遺障害7級の高次脳機能障害が認定されたケース
(令和3年4月14日原稿作成)
交通事故の発生
事故当時30代男性(会社員)の被害者は、自転車に乗って京都市内の交差点の自転車横断帯上を青信号で進んでいたところ、曲がってきた車に衝突され、自転車もろもと数メートル飛ばされて転倒しました。
被害者はすぐに京都市内の病院に救急搬送されました。
救急搬送後
交通事故後、被害者は意識障害がずっと続いた状態でした。
画像診断で、脳挫傷(頭部の部位については省略させていただきます)、急性硬膜下血腫、頭蓋骨骨折が判明しました。
被害者は、頭部にかなりの損傷を負った状態であり、生命が危ぶまれる状態でしたが、幸いなことに、救急搬送先の担当脳神経外科医の先生方がとてもすばらしいチームでした。
開頭して血腫を取り除き、頭蓋骨をあえて外した状態を保ち、むくみが引くのを待ち、その後、再度、頭蓋骨を形成するという手術が行われました。
被害者が簡単な命令に応じるようになったのは事故から10日後で、事故から50日あまり経ち、被害者はやっと意識清明になりました。
当法律事務所の無料相談
被害者の意識が徐々に回復されるにつれ、被害者のご家族は、被害者が重傷であるゆえ事故前の日常生活を送ることはとても無理かなともお考えになったこともあり、弁護士への相談をお考えになり、当法律事務所の無料相談をご利用になりました。
弁護士金田は事情をお聞きし、事故状況、受傷されたケガの内容、当時の被害者の様子などを確認し、今後の方向性の説明をさせていただき、無料相談は終了しました。
転院入院をされ、リハビリテーションを継続
被害者は、救急搬送先病院での入院中も、頭部に関する初期(急性期)のリハビリテーションが行われていました。
担当の脳神経外科医の先生は、被害者の意識が清明になったタイミングで、転院しての入院リハビリテーションの継続をお考えになり、被害者は紹介転院で入院となりました。
実際に、被害者には、記憶障害、注意力の低下、言葉が出て来にくい、イライラが多くなるなどの高次脳機能障害によくある症状が出ていました。
転院先の病院は、高次脳機能障害のリハビリテーションに意欲的・積極的に取り組んでおられる病院で、被害者は4ヶ月弱のリハビリテーション入院となりました。
弁護士金田が受任
この転院先に入院された直後、ご本人やご家族からご依頼があり、弁護士金田が受任することになりました。
被害者の状態について弁護士も把握しておく必要がありましたので、病院側からの現状の説明については弁護士も同席させていただきました。
退院後の通院リハビリテーションと脳神経外科フォロー
入院が終わった後は、別のクリニックに転院され、通院してのリハビリテーション継続となりました。
これに加え、退院となったので、最初の救急搬送先の病院の脳神経外科に定期的にフォローで通院診察を受ける流れになりました。
最初の救急搬送先の脳神経外科医の先生は、転院で手が離れた後も被害者のフォローをされました。
このようなしっかりとしたフォローの効果があり、被害者の症状はかなり良くなりました。
救急搬送先の脳神経外科の先生には、弁護士金田が事前に予約をして面談のお時間をいただき、被害者の頭部画像の様子や今後のフォローのことについてお話をいただくことができました。
退院後の被害者の頭部画像を確認したところ、脳挫傷の痕が広い範囲にわたり残っていました。弁護士金田が確認しても一見してはっきりとわかるほどのMRI画像でした(脳萎縮所見もありました。)。
この画像の状態は、右半身に相当な障害が出てもおかしくないとの指摘がありました。ところが、被害者にはそのような症状はでていませんでした。
この時点で弁護士金田からは、事故直後の意識障害の程度に関する所見文書の作成をお願いしました(意識障害の程度は上でのべたとおりです。)。
さらに、被害者にとって幸いだったのは、被害者の職場が被害者の症状をとてもご理解されたことでした。被害者にできる仕事をしていただくということで被害者は復職されることになりました。
症状固定 後遺障害診断
被害者の症状はかなりよくなったとはいえ、記憶障害、注意力の低下、言葉が出て来にくい、イライラが多くなるなどの症状は残りました。
お仕事で、交通事故前に出来ていたものの事故後にできなくなったことはたくさんあり、事故前の被害者の仕事ぶりにはとてもおよばない状態でした。
救急搬送先の脳神経外科で後遺障害診断がされることになり、後遺障害診断には、被害者とそのご家族に加え、弁護士金田も同席させていただきました。
診断書関係は主治医の先生に数種類ご作成いただくことになりました。
自賠責保険の後遺障害等級認定申請
ご家族には、被害者の日常生活状況について報告書を作成していただきました。
あわせて弁護士金田からは、ご勤務先に、事故前後の被害者の仕事の状況についてヒアリングをしました。
各資料は弁護士金田がお預かりし、自賠責保険会社に対し、後遺障害等級の申し立てをしました。
後遺障害等級結果 ~後遺障害7級の高次脳機能障害が認定されました~
自賠責保険は、受傷当初に脳損傷の所見が認められること、後の画像でも脳挫傷の痕が残っており脳の萎縮の進行が認められること、事故当初からの意識障害が続いていたことなどから、交通事故の脳の受傷による高次脳機能障害が残ったことを認めました。
高次脳機能障害の程度については、軽易な労務以外の労務に服することができないものとして、後遺障害7級と判断しました。
※ 実際には、高次脳機能障害以外にも耳鳴りに関して後遺障害12級相当が認定され、全体の等級としては後遺障害併合6級が認定されました。
ひとこと
以上のケースは、事故から約2ヶ月後の入院中に弁護士金田にご依頼いただいたケースです。
この件は、自賠責保険で高次脳機能障害7級が認定されましたが、最初にご担当になった脳神経外科医の先生のチームがとても充実した治療とフォローをされたおかげで、とても重い後遺障害が残るところが後遺障害7級の認定にとどまったと評価し得るケースです。
治療中から弁護士金田が受任していましたので、治療の流れも可能な範囲で紹介いたしました(実施された細かい検査についてもかなり省略しております。)。