足首関節と下肢醜状の後遺障害9級合計2398万円で解決した事例

 
男性:40代
職業:会社員
傷病名:左脛骨骨幹部開放骨折(術後偽関節)
    左第5指中手骨開放骨折
    左脛腓関節脱臼
    左脛骨骨髄炎

事故状況

 
被害者はバイク、相手方は四輪車の衝突事故でした。
被害者は転倒し、病院に救急搬送されました。

 この被害者の方は、交通事故で重傷を負い、長期入院をすることになり(入院も4回することになりました)、それまで勤務していた会社に出勤できなくなり、結局この交通事故が原因で退職しなければならなくなりました。

被害者の方は、入院リハビリ、退院後もリハビリ通院を継続しましたが、結局、症状が残り、症状固定となり、整形外科と形成外科で後遺症(後遺障害)診断をすることになりました(下腿に醜状痕が残ったために、形成外科でも治療を継続されていました。)。

 

弁護士への相談のきっかけ

 
できあがった後遺障害診断書を受け取られた被害者は、この後遺障害診断書の内容がどうなのか、後遺症(後遺障害)のどれくらいの等級が認定される見込みがあるのか、などが気になり、京都の法律事務所へ連絡されました。
当法律事務所に来られるまでに、京都の法律事務所を2カ所ほど訪問され、その後当法律事務所弁護士の交通事故無料相談におこしになりました。

 

当法律事務所弁護士の交通事故無料相談では…

 
交通事故無料相談では弁護士が2通の後遺障害診断書(整形外科のものと形成外科のもの)を確認しました。

弁護士が見て気になったのは、関節機能障害の欄の足関節(あしくびの関節のことです。)が以下の記載になっていたことです(受傷側は左です)。

足関節(他動値)  背屈 右20度  左-10度  
          底屈 右60度  左 45度

※ 背屈は伸展とも言い、かんたんにいえば足の甲を上に上げる運動のことで、底屈とは屈曲とも言い、かんたんにいえば足の甲を下げる運動のことです。

 この内容によれば、患側(受傷側)が35度、健側が80度となりますので、受傷側が健側の可動域の2分の1以下に制限されていることになり、足関節機能障害(可動域制限)の後遺症(後遺障害)等級10級11号に該当する数字にはなります。

しかし、弁護士は、以下の点が気になりました。

後遺障害診断書の傷病名欄
脛骨骨幹部開放骨折と足指開放骨折の記載しかありませんでした。つまり、これらは、ひざと足首との間の部分と足指の部分のことであり、足首に関する傷病名がありませんでした(脛骨開放骨折といっても実際に骨折した部分や骨折の程度、症状経過などにより足首に影響するケースはあり得るかもしれないのでこの点は確認する必要がありますが。)。
もし、足関節(あしくびの関節)の可動域制限の原因となる傷病がないと判断されたらこの点の後遺症(後遺障害)は非該当になる可能性もあります。

 
【 後遺障害診断書の他覚所見欄 】
関節の可動域制限の後遺症(後遺障害)等級が認定されるためには、そのような可動域制限が生じるような器質的損傷があることが必要になります(たとえば、骨折部分の骨癒合が良くないなど)。
ところが、後遺障害診断書の他覚所見の欄には、足関節(あしくびの関節)の状態の記載はありませんでした。
もし、足関節(あしくびの関節)に、可動域制限の原因となる器質的損傷がなければ、後遺症(後遺障害)は非該当になる可能性もあります。

 

  • 当法律事務所弁護士が受任

 
このケースは弁護士費用特約のないケースでしたが、当法律事務所弁護士がご依頼をお受けすることになりました。

(画像をクリックしてご覧ください)
             

ただし、被害者がお持ちの後遺障害診断書のままでは、足関節(あしくびの関節)の可動域制限の後遺障害等級が認定されないおそれもあるので、まずは、経過の診断書・診療報酬明細書を取り寄せて確認することにしました。

 取り寄せた診断書を確認したところ、受傷直後から、左足関節脱臼という傷病名が明記されていました。この傷病名は、足関節の可動域制限を引き起こす可能性のある傷病です。また、被害者は、入院先の病院とは別の病院で通院リハビリをされていたのですが、通院先の病院の診断書に、関節拘縮という記載がありました。この関節拘縮も器質的損傷を示すものです。

 このように、弁護士が心配した2点はクリアできる見通しになったので、弁護士が被害者の方と主治医の先生のもとに同行することになりました。
主治医の先生にお聞きしたところ、交通事故で受傷した左足関節の拘縮はあるというご見解であり、後遺障害診断書には、実際に診断されていた左脛腓関節脱臼(これはあしくび部分にある関節のことです。遠位脛腓関節のことです)という傷病名が、他覚所見の欄には足関節に関節拘縮・可動域制限を認める旨が追記されました。

 その後、弁護士が代理して、相手自賠責保険会社に後遺症(後遺障害)等級認定の申し立てをしました(被害者請求)。

 

  • 後遺症(後遺障害)等級認定結果は…

 
後遺症(後遺障害)等級認定の申し立て後、左ひざから下の醜状痕が残ったことの確認で、調査事務所の面接が入り、これも弁護士が同行しました。

 等級認定結果は、

足関節(あしくびの関節)機能障害が10級11号 
ひざから下の醜状の障害が12級相当
と認定され
併合9級が認定されました。

 ※ 12級相当とは醜状の面積がてのひらの大きさの3倍程度以上あることが要件になります。てのひらとは手の指の部分は含みません。

 9級が認定された後、間もなく相手自賠責保険会社から616万円の支払いがありました。

 

  • 示談交渉

 
最終の示談交渉も当法律事務所弁護士が代理して行いました。
示談交渉により、以下のとおりの合意ができました。

既払額(治療費については示談交渉前に既に全額支払い済みであり、休業損害のうち半分も示談交渉前に支払い済みの状態でした。)を除き、1782万円の支払いを受けることで解決しました。

上記金額以外に、後遺症(後遺障害)等級9級併合が認定された際、相手自賠責保険会社から616万円の支払いがありましたので、合計で2398万円の支払いを受けたことになりました。

後遺障害逸失利益は、事故前の被害者の年収をもとに67歳までの金額で合意ができました。
傷害慰謝料は355万円で、後遺障害慰謝料は670万円で合意ができました。
休業損害は、弁護士受任後、追加で449万円(千円以下省略いたします。)の支払いを受ける合意ができました。

このケースは、交通事故でかなりの重傷を負われたケースでした。
交通事故で手や足を骨折や脱臼した場合には、重い後遺症(後遺障害)が残ることがあります。そのような場合には、妥当な損害賠償金を受けるべきですが、そのためには、妥当な後遺症(後遺障害)等級が認定される必要があります。このような妥当な等級認定に向けて、当事務所弁護士は日々努力を怠らず、がんばっていく決意です。