バイク事故で上腕骨近位端骨折 右肩可動域制限 後遺障害10級2700万円獲得ケース

事故状況、症状、治療状況など

バイクに乗って国道を直進走行していた被害者(40代男性)は、左の狭路から四輪車がバイクの進路上に出てきたため、急ブレーキとハンドル操作を行い、何とか衝突をさけることはできましたが、バイクもろとも転倒し、負傷しました。

被害者は、救急搬送先の病院で、肩付近の骨折(傷病名は、上腕骨近位端骨折)と診断されました。主治医の先生のご指摘で、手術はしないという方針になり、しばらく固定をし、その病院で通院リハビリ治療を続けることになりました。

骨折部分には痛みが続いたほか、リハビリを続けても肩関節の可動域が十分に回復しませんでした。

●上腕骨近位端骨折(じょうわんこつきんいたんこっせつ)

肩からひじにかけてある骨を上腕骨といいます。上腕骨のうち、肩の端の方の部分を近位端といいます。

上腕骨近位の部分は丸い形をしており、これを上腕骨頭(じょうわんこっとう)といいます。

この上腕骨頭のうち、外側の部分は、大結節(だいけっせつ)があります。
バイクに乗って交通事故にあい、転倒して受傷すると、鎖骨骨折も多いのですが、この上腕骨の大結節を骨折するケースも、(少なくとも弁護士金田の経験上では)多いといえます。

上腕骨大結節を骨折すると、患部の痛みが残るおそれがあることはもちろん、肩の関節の可動域が制限されるという後遺障害が残るおそれがあります。

 

被害者には、治療と並行して、バイクなどの物損の話し合いの問題がありました。

相手方の任意保険会社から物損の提示があったのですが、相手方の過失割合の主張に疑問を持たれ、また、けがの今後のことがどうなるのかという疑問もお持ちであり、事故から約3カ月後、当法律事務所の無料相談にお越しになりました。

 

当法律事務所の無料相談・受任

弁護士金田は、事故状況、受傷状況などをお聞きしました。
過失割合について、より正確に見通しを立てるためには刑事記録を取り寄せて検討する必要があることをお伝えし、被害者の方に入手方法もご説明しました。

また、受傷についてもお聞きしたところ、患部の痛みが残っており、受傷側の肩関節の可動域に制限があるようでした。
本件はどうも後遺障害が残ってしまいそうなケースと考えたので、弁護士からは、後遺障害診断や等級認定のことや人身の損害のことも説明しました。

後日、被害者はご自分で刑事記録をお取り寄せになられ、弁護士も確認いたしました。
症状固定直前の時期に当法律事務所がご依頼をお受けすることになりました。
弁護士からは、被害者には後遺障害の留意事項をアドバイスするとともに、お話をお聞きしていると、どうも受傷した肩のCT検査が実施されていないようでしたので、最終治療までに、主治医の先生とCT検査のことをご相談された方がいいとアドバイスしました。

 

●CT撮影のメリット

CTは、レントゲンとは異なり、検査したい部位の断面を数ミリ単位で作成し、立体的に骨の状態などを確認できたり、撮影したデータをもとに3D像を作成することができたりします。

本件では、肩関節の可動域制限という後遺障害等級が認定されるかどうかが問題になります。

この後遺障害等級が認定されるためには、まず、そのような関節可動域が制限されるような骨の状態なのかどうかが問題になります。

つまり、骨折した上腕骨近位部の骨の状態を見る必要があり、その状態を見るには、よりCT検査を実施していただく必要があると考えられたからです。
(※ ただし、CTは、レントゲンよりも被爆量が多いので、実施にあたっては、主治医の先生と十分にご相談ください。)

 

後遺障害等級の申し立て、自賠責調査事務所から事故状況の調査

事故から約7カ月あまりで症状固定になりました。

画像のCD-Rについては、被害者にお取り寄せいただきました。
症状固定時期直前に実施された患部の肩のCT画像によると、上腕骨大結節部分が大きめの転位(てんい:ずれのことです。)を残して骨癒合していました。
このような転位は、肩関節可動域制限の原因になると考えられます。

出来上がった後遺障害診断書を確認すると、肩の外転運動が健側(受傷していない側)の2分の1の数値でした。

弁護士は、必要資料を自賠責保険会社に提出し、後遺障害等級の申請をしました。

ところが、申請後、自賠責調査事務所から、事故状況の調査が入りました。
つまり、事故状況の調査をしたいために、被害者側に送付した回答書に回答してほしいというものでした。

●非接触事故

本件は、被害者やバイクは転倒して負傷しましたが、相手方となる四輪車との接触はありませんでした。
このような非接触事故の場合、相手方の運転行為と被害者の受傷との間に因果関係があるのかどうかが疑われます。

刑事記録には、相手方の四輪車が、被害者バイクの進路上に進出してきた点が明確に指摘されていました。こちらからは、この点をきちんと主張していきました。
あわせて、衝突を避けるためには被害者が他の行動をとることができなかった点も主張しました。

 

後遺障害等級認定結果→後遺障害10級10号が認定されました

結果、相手方四輪車の運転行為と被害者の受傷との因果関係は否定されませんでした。受傷した肩関節の可動域は、健側の2分1以下に制限されているという後遺障害10級10号が認定されました。

 

示談交渉による解決

※以下の金額は、けがの損害のみの金額であり、十万円未満省略しております。

最終の示談交渉も弁護士金田が代理しました。
こちらからは、被害者は仕事への影響が多大であること、画像上の骨折部の状態が良好ではないこともあり、裁判も辞さないスタンスでのぞみました。
結果、最終で 2240万円 の支払を受ける示談が成立しました。

後遺障害10級認定により自賠責保険会社から460万円の支払いをうけておりましたので、合計 2700万円 の支払いを受けることができました。

休業損害、後遺障害逸失利益、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料はこちらから請求した金額を前提とした合意ができました。
後遺障害逸失利益は、症状固定時から67歳までの間、27%の労働能力が失われたことを前提にした金額です。

 

ひとこと

弁護士金田は、上腕骨近位端骨折(特に大結節部)の交通事故受傷事案をたくさん取り扱ってきております。
交通事故にあい、同様の受傷をされた方は当法律事務所にご相談いただければと思います。