長管骨変形後遺障害12級8号「15度以上屈曲して不正癒合したもの」 とは

(令和8年5月17日原稿作成)

 

 

事故状況・受傷

 

被害者(事故時10代 男性 学生)は、自転車に乗り、道路の左端部分を走行していたところ、後方から四輪車の衝突を受け、そのまま四輪車にひかれるという交通事故にあいました。

 

被害者は適用に自転車を走行させていましたので、被害者には全く落ち度はない事故です。

 

被害者は病院に救急搬送されました。

 

被害者は、この交通事故にあい、たくさんのケガをしましたが、本件で後遺障害等級が問題になるものとしては右上腕骨骨幹部骨折でした。

 

 

 

 

 

当法律事務所へは

 

被害者の親御さんは、被害者の入院中から、当法律事務所のホームページを見てご連絡をいただき、無料相談にお越しになりました。

 

最初に心配されている点や、初期のうちに注意するべき点をご説明し、少しは安心されたようでした。被害者が退院された後に、当法律事務所へのご依頼いただくことになりました。

 

 

ただし、入院は4ヶ月を超える長期となりました。

 

 

 

 

 

退院後

 

退院後、被害者は、搬送先の病院に、リハビリテーションや診察に通うことになりました。

 

 

 

通院中に弁護士が画像CD-Rを取り付けて確認しました

 

被害者から同意書をいただき、搬送先の病院から画像CD-Rの交付を受けました。

 

これは、後遺障害が残るおそれがあるかどうか、あるとしてどのくらの等級が認定される見込みがあるかの見通しを立てるためです。

 

 

弁護士金田がレントゲン画像、CT画像を確認し(本件は、傷病との関係でMRIは撮る必要がないケースでした。)、骨折した右上腕骨骨幹部の骨癒合状態が気になりました。

 

 

以下は、本件で折れた右上腕骨骨幹部のCT画像を手書きにして書いたものです。

 

 

 

上腕骨とは、肩からひじにかけての長い骨のことですが、本件では曲がってくっついた状態となりました。

 

 

弁護士金田はこの上腕骨の変形癒合が後遺障害等級に該当する可能性があると見込み、この点を意識するようにしました。

 

 

結局、上記の上腕骨の骨癒合状態は最終診察日に撮ったCT画像でも同様の状態でした。

 

 

 

 

骨折部分に症状があるかどうかを確認する

 

 

骨折部分の変形癒合(変形してくっついてしまっていること)があるといっても、被害者に何も症状がなければ、最終の損害賠償の話合いで、加害者側保険会社から損害を減らした回答がくるおそれがあります。

 

 

そのため、被害者にはどのような症状が生じているのかを、治療中から弁護士が把握しておく必要があります。

 

 

被害者の方におかれましても、症状、日常や仕事上の不都合などが生じていれば、全て依頼している弁護士にお伝えいただく必要があることにはご留意ください。

 

 

 

■若年の交通事故人身被害者で注意すべきこと

 

若年の方は以下のような傾向があります。

 

・症状があっても医療機関に通院をしたくない、

・自分は大丈夫だと思い、症状があってもそれを言いたがらない

 

 

 

このような傾向がありますと、親御さんも被害者の症状や状態をみすごしてしまい、本来必要であった通院が十分でなくなったり、実際にある症状がないものとして扱われ、症状にみあった後遺障害等級が認定されなかったり、本来得られるべき賠償額が得られずに終わったりするといった事態が発生してしまいます。

 

 

 

そのようなことになってしまうと、被害者が後になって後悔することにもなりかねません。

 

 

 

このような事態になることを防ぐには、まず、ご家族の方が普段から被害者の様子を観察し、被害者とコミュニケーションをとっておくことが必要だと思います。

 

 

 

本件被害者も、あまり口に出す方ではありませんでしたが、何とかお聞きし、以下のとおりの症状があることがわかりました。

 

・骨折した上腕の筋力低下

・骨折した腕の力が入りづらい

・重い物が持ちづらい

 

 

 

 

 

 

後遺障害診断

 

 

最終診察時期になり、担当整形外科医の先生に後遺障害診断をお願いすることになりました。

 

 

本件で認定される可能性があると考えた後遺障害等級は、上腕骨に変形を残すもの(後遺障害12級8号)でした。

上腕骨に「変形を残す」とは、外部から想見できる程度以上、具体的には15度以上屈曲して不正ゆ合したもの をいいます。

 

 

もともと、15度以上屈曲して不正ゆ合した後遺障害12級8号という類型の認定例自体極めて少ないです(当法律事務所が判例ソフトで調べても、ほとんどありませんでした。)。

 

 

当法律事務所では、上腕骨のような長管骨が偽関節(ぎかんせつ)となって後遺障害12級8号が認定された取り扱い事例はたくさんあるのですが、これまで15度以上屈曲して不正ゆ合した後遺障害12級8号という類型の取り扱いはなく、規定されている条件に合うものかどうかを忠実に検討していくしかありません。

 

 

 

担当医の先生は、後遺障害診断書では、 Xp変形癒合(Xpとはレントゲンのことです。) としか記載されず、上腕骨の骨折後の変形度合いについては記載がありませんでした。

 

 

仕方なく、弁護士金田は、被害者の上腕骨のレントゲン画像とCT画像のCD-Rについている機能を使用し、紙にして印刷し、角度を図ったところ、15度を超えていました。この資料と、骨折した上腕骨の屈曲変形の程度をきちんと確認していただきたい旨の文書を自賠責保険に提出しました。

 

 

 

 

 

後遺障害12級8号「15度以上屈曲して不正ゆ合した」が認定されました

 

後遺障害等級結果は、以下のとおりです。

 

 

提出した画像から15度以上屈曲して不正癒合しているものと認められ、「長管骨に変形を残すもの」として後遺障害12級8号に該当すると判断されました。

 

 

 

事例が極めて少ない後遺障害の類型でかなり苦労しましたが、上記認定を得ることができました。

 

 

 

自賠責保険は、骨折した腕の筋力低下、骨折した腕の力が入りづらい、重い物がもちづらいといった症状についても後遺障害12級8号に含めての評価となる旨の判断もされました。

 

これらの症状は、これから賠償金の話合いをする際に重要なポイントになってきます。

 

 

 

 

 

 

最終示談成立

 

想定していた後遺障害等級が認定され、被害者(及びそのご家族)とも相談のうえ、最終の示談交渉に進むことになりました。

 

 

最終示談では、2727万円(千円以下省略しています。)の請求をし、2580万円 の支払を受ける合意ができ、示談が成立しました。

 

 

後遺障害12級認定により自賠責保険から支払をうけた224万円、治療中に弁護士金田が交渉して内払いを受けた100万円とあわせ、弁護士受任後、合計(治療費を除き) 2904万円 の支払を受けることができました。

 

 

 

 

交通事故にあい骨折を受傷した被害者の方へ

 

交通事故にあい骨折を受傷した場合、後の生活・仕事に相当な支障が生じるおそれがあります。

 

このような場合、正当な賠償金を得ることは重要になってきますが、弁護士に相談することは有益といえます。

 

ぜひ、当法律事務所にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

執筆者

代表弁護士 金田英二
代表弁護士 金田英二代表弁護士
金田総合法律事務所の金田英二です。交通事故で受傷された被害者の救済を実現することを目標に、日々尽力しています。