脛骨高原骨折・プラトー骨折で仕事復帰するも、後遺障害12級13号が認定された事例
脛骨高原骨折…交通事故による骨折では意外と多いです!
脛骨高原骨折(けいこつこうげんこっせつ)
膝(ひざ)から足首にかけて長い骨が2本ありますが(これを長管骨といいます。)、このうち太い方の骨を 脛骨 といいます。
この脛骨の上のはしは、ひざの関節の面になっており、平らな形をしています。
この部分を骨折することを、脛骨高原骨折、脛骨プラトー骨折などといいます(脛骨近位端骨折という言葉が使われる場合もあります。)。
弁護士金田の経験でも脛骨高原骨折は、意外と多く、これまで何例もご依頼を受けたことがあります。
バイクや自転車に乗っていて車に衝突されて転倒し受傷するというのが典型例になりますが、車がひざに当たったり、地面に転倒するときにひざを強打して骨折してしまうようです。
脛骨高原骨折の程度にもよりますが、多くは手術が実施されます。その後、医師の先生の指示のもとで、患部の下肢に徐々に荷重をかけていき、痛みやしびれの軽減、筋力アップ、膝関節運動改善のためのリハビリが実施され、プレートやスクリューを体内に入れる手術をした場合には、通常、それを抜く手術(抜釘術といいます。)が実施され、あとは、治癒(完全に治る)するのか、それとも何らかの症状が残って(症状固定)後遺障害診断となるのかという流れになります。
脛骨高原骨折の後遺障害~ポイントはひざ関節部のケガは重くなるおそれあり!
骨折後に治療を続けても、どうしても何らかの症状が残る場合があります。その場合には、適切な金銭賠償を受ける必要がありますので、症状に見合った適切な後遺障害等級が認定されなければなりません。
脛骨高原骨折、ひざの関節面のケガです。関節面のケガは、痛みやしびれ(これを「神経症状」といいます。)が残りやすいといえます。
これに加え、ひざには大事な点があります。それは、ひざは体の体重を受ける部位であることです。荷重がかかり、症状に影響がでるおそれがあります。
この点に注意していく必要があります。
●気になる後遺障害
まずは以下のような症状に注意をしてく必要があります。
・ひざに痛みやしびれが残る
・骨折したひざの関節が、骨折していない側の関節に比べ、可動域が制限されてしまった
上記以外に、治療中に、ひざくずれ、ひざが抜ける感じがある、ひざの不安定感がある などというような症状があるかどうかには注意していただく必要があります。
この場合、動揺関節(どうようかんせつ)という症状を疑う必要があり、後遺障害等級申請までにしなければならない検査があります。
さらに、例としては少ないと思いますが、足首の関節に障害がでてくるケースもあります。
この場合も後遺障害等級申請までにしなければならない検査があります。
弁護士金田が解決した脛骨高原骨折後遺障害12級13号の事例
被害者(30代女性会社員)自転車に乗り、四輪車に衝突され、転倒し、救急搬送で病院に運ばれ、画像検査により、左脛骨高原骨折を受傷しました。
病院では、画像上、脛骨のひざ関節面が5mmも陥没した という所見でした。ひざの関節の面の5mmの陥没は程度が大きなものといえます。
被害者の骨折部分を整復固定するため、手術により患部体内にプレートとスクリューが入れられました。
退院後もリハビリが行われ、少しずつ荷重をかけていき、事故から約2ヶ月半後に患部に全荷重をかけていいという許可が出ました。
その後もリハビリを続け、プレートとスクリューを抜く手術(抜釘術:ばっていじゅつ)が行われました。
●骨折部分の神経症状(痛み、しびれ)について、被害者が治療中に注意しておいていただきたい点
被害者の患部のひざ関節の可動域はそれほど制限されていませんでした。
また、ひざの不安定感、抜ける感、くずれ感もありませんでした。
ただ、患部のひざには痛みが残っていました。
※ひざ関節の可動域制限とひざの不安定感などの症状の注意点についてはここでは省略いたします。
脛骨高原骨折を受傷し、ひざに痛みやしびれがあれば、それを診察の際に主治医の先生に伝えておくことが重要です。
それだけでなく、入院中では看護師の方、リハビリの際に理学療法士の方にも誠実に伝えていただく必要があります。
免荷(患部に体重をかけないこと)の指示がでている時期と3分の1荷重や2分の1荷重などの指示が出ている時期に痛みの程度が軽いと感じても、完全荷重後に賃金労働、自営仕事、家事労働などを始める時期にそれがどうなるかはわからないといえますので、この点については自分の痛みを冷静に分析することが必要です。
そして、事故前に比べ、賃金労働、自営仕事、家事仕事に影響があるかどうか、影響があるとしてそれは痛みが原因なのかどうかについてもメモをしておくなどして整理しておいた方がよいでしょう。
当法律事務所の無料相談・受任
被害者は抜釘手術を受けた後、少しして、治療の終了時期(症状固定時期という意味で申し上げております。)が来ました。
骨折した患部には痛みがあるので、後遺障害診断を受けることになったということでした。被害者は不安に思われ、ホームページで当法律事務所を見つけていただいたとのことで、無料相談にお越しになりました。
弁護士金田が事故の経緯、治療状況などをお聞きし、骨折したひざの関節可動域制限やひざくずれ・不安定感などの症状はないことがわかりました。
ただ、痛みがあるとのことでしたが、もう少し具体的にお聞きしました。
弁護士費用特約の適用があるとのこともあり、ご依頼をお受けし、後遺障害等級申請手続から代理することになりました。
本件は、残っている痛みなどの神経症状の後遺障害の認定のみにポイントをしぼって進めていくという方針になります。
ただ、あと数日で後遺障害診断書の診察日だということで、準備にほとんど時間がない状況でした。さらに、診察医の先生がまだあまりご経験が少なそうなお若い方だということでした。
このような状況からすると、弁護士の同席をお願いするよりも、文書でお伝えする方がスムーズかと考え、被害者の自覚症状の整理のほか、ポイントとなる事項を文書で整理し、被害者の方に診察にご持参いただくことにしました。
脛骨高原骨折部の痛み(神経症状)の後遺障害12級と14級の違いは…
本件は痛みなどの神経症状が残っているだけですので、この後遺障害認定の結果は、すなわち、後遺障害12級13号が認定されるか、後遺障害14級9号が認定されるか、それとも後遺障害非該当の判断になるかの3つのうちのどれかです。
本件の骨折の部位、治療状況、症状をお聞きし、おそらく後遺障害非該当にはならないだろうとは思いましたが、問題は12級か14級かです。
弁護士金田の経験上、脛骨高原骨折部分の痛みの12級と14級の違いは、痛みやしびれが証明されるような画像上の異常所見が認められるかどうかと考えています。
過去の認定結果から一つ明らかになっていることは、骨折部分の骨がくっついているとして(専門的には「骨癒合が得られた」といいます。)として、画像上、ひざの関節面に不整が認められるかどうか(一番上で述べた平らな面が整っているかいないか)です。
すなわち、痛みなどの自覚症状があり、ひざ関節面に不整が認められると後遺障害12級13号が認定されるということになります。
弁護士金田は、この点を意識して、被害者にお伝えしました。
後遺障害診断
弁護士のアドバイスをもとに被害者は主治医の先生の後遺障害診断を受けました。
結局、その日、受傷した 左ひざのCT検査 が実施されました。
後遺障害診断書には、このCT検査を踏まえて、骨折した左ひざの関節面には2mmの陥凹変形が残っている旨の記載がありました。
※この陥凹変形ですが、裁判で他の医師の先生に作成していただいた意見書ではもう少し深いというご見解でした。
後遺障害等級の申請の際、弁護士が全て資料をお預かりします。その際、お預かりした画像CD-Rを確認しましたところ、弁護士金田の目から見ても、確かに骨折した関節面には段差があることが確認できました。
油断はできませんが、後遺障害12級13号が認定されるのではという見込みを持ち、自賠責保険会社に後遺障害関係資料を提出しました。
●ひざの関節面の状態を見る画像についてのポイント
レントゲン検査で明らかになるものについてはCT検査の実施までは必要ないと思われます。
ただ、レントゲン検査でもはっきりしない場合には、CT画像の確認が必要になるかと思います。
もちろん、骨癒合が完成した後の画像で確認する必要があります。
後遺障害等級認定結果…12級13号が認定されました
骨折部分については骨癒合が認められるものの関節面の不整が認められ、他覚的に神経系統の障害が証明されるものととらえられ、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として後遺障害12級13号が認められました。
最終の損害賠償請求は裁判まで行くことになりましたが、結果、後遺障害慰謝料は大阪の裁判基準である280万円、後遺障害逸失利益は労働能力喪失期間67歳までを14%失った前提での計算に基づく和解の合意ができました。
後遺障害14級にとどまるのと後遺障害12級が認定されるのとでは、被害者が受け取る賠償金額に雲泥の差が出てきます。
本件は、治療終盤のレントゲン画像では骨折部の関節面の状態がはっきりわかりづらい印象がありましたので、症状固定日にCT検査を実施していただいたことは後遺障害12級の認定に重要な意味を持ったと思います。
もし、最後にCT検査が実施されていなければ、後遺障害14級にとどまる判断もあったおそれがあるといえる事案でした。
残った症状に見合った後遺障害等級が認定されるためには、後遺障害等級認定の経験が豊富で、くわしい、弁護士のアドバイスが必要になることも少なくなく、本件はこのようなケースであったといえます。
特に、骨折を受傷したケースでは、後遺障害等級認定の経験が豊富で、くわしい、弁護士のアドバイスはより必要になると考えていただいていいと思います。
交通事故で骨折を受傷された方は、ぜひ、当法律事務所にご相談ください。