肩鎖関節脱臼後遺障害11級(鎖骨変形、肩関節可動域制限)1438万円を得たケース
被害者…40代男性
事故状況…四輪車と二輪車(被害者)の衝突
傷病名…肩鎖関節脱臼、肋骨骨折(多発)、膝蓋骨骨折 ほか
当事務所へのご相談時期…加害者側任意保険会社から治療費が打ち切られ、これから後遺障害認定の段階というところで当事務所のご相談に来られました。
後遺障害等級認定申請
当事務所は、まず、後遺障害等級認定申請の代理をしました。
後遺障害診断書の記載
・肩鎖関節脱臼に由来する鎖骨の変形
・肩鎖関節脱臼を受傷した側の肩関節の状態
(拘縮している旨の記載がありました。経過の診断書でも肩関節拘縮が明記されていました。)
・骨折した膝の状態
・検査関節脱臼をした側の肩関節可動域
(健側と比べて、肩関節機能障害の認定要件を満たすほどの制限がありました。)
初回の等級認定結果(被害者請求)
・肩鎖関節脱臼につき、鎖骨の変形で12級5号(同部位の疼痛もありましたが、これは変形に含めての評価になりました。)
・膝の傷みにつき14級9号が認定され、併合12級が認定されました。
ただし、肩関節の可動域制限については、画像所見、症状・治療経過から、今回のケースのような高度な可動域制限が生じるものとは捉え難い旨の理由で等級に該当しないということでした。
異議申立て(被害者請求)
肩関節機能障害の点に関し、異議申立てを行いました。
当事務所弁護士は、以下の資料をはじめ、たくさんの資料をつけて異議申立てをしました。
・労災の障害補償に関する資料(肩関節機能障害が認定され、併合11級が認定されたのでその資料を出しました。)
・治療・症状経過に関する資料(診療録)
・専門医の先生による画像鑑定資料(肩腱板の部分断裂所見がありました。)
しかし、結果は初回の申請結果と変わりありませんでした。理由もほぼ同じ理由でした。
自賠責保険・共済紛争処理機構への不服申立て
その後、自賠責保険・共済紛争処理機構へ異議申立てを行いました。
その結果、肩鎖関節脱臼をした側の肩関節の可動域制限による機能障害が認められ、新たに12級6号が認定されました。
鎖骨変形12級5号、膝神経症状14級9号と、12級6号の併合で11級が認定されました。
弁護士金田が代理しての示談交渉
※ 以下、金額は1万円未満を省略しております。
最終支払損害賠償額 972万円 で合意ができました(これは、既に支払われていた治療費と休業損害の一部を除いた金額です。)。
自賠責保険で最終的に後遺症(後遺障害)等級併合11級が認定されたことにより、309万円の支払いがありました(労災からも支給があったために、支給調整がなされました。)。
被害者は、合計で 1281万円 の損害賠償金の支払いを受けることができました。
●労災保険からの支給
被害者は、労災保険からも157万円の支給をうけることができました。
労災保険については当事務所弁護士がアドバイスを行いました。
この157万円を加えると、被害者は 1438万円 の支払いを受けたことになります。
上記以外にも、被害者の方は、労災から特別支給金が約85万円支給されました。この特別支給金というものは、加害者側に対する損害賠償額から引かれません。ですから、この特別支給金というのは労災保険を使用する際の重要なメリットの一つです。
弁護士からひとこと
自賠責保険・共済紛争処理機構への不服申立ては、一度のみしかできず、ここでも判断が変わらないと、等級を争う方法は裁判手続しかありません。
本件は、ご依頼者の方とは、事前に、勝負どころは自賠責保険・共済紛争処理機構でのステージかもしれないという話をしていました。
本当に1回勝負のステージで想定した結果が認められた事案でした。
さらに、このケースは、被害者の方と何度も細かいお話を重ね、労災保険を使いながら、最終到達点までたどりつきました。
途中で難しい局面は何度かありましたが、最後まであきらめることなく進めることができ、妥当な解決に至ったといえるケースでした。
弁護士費用特約はついていませんでしたが、当事務所弁護士を信頼していただき、ご依頼いただきました。
肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)について
バイクや自転車に乗っていて交通事故にあい、転倒した際に発生することがあります。
患部の痛みやしびれだけを気にしていればいいのではなく、鎖骨(さこつ)の変形 や 肩関節の機能障害(可動域の制限)の残存についても注意していく必要がありますが、肉眼で見た患部の様子や画像の状態がどのようになっているかをきちんんと確認していく必要があります。
弁護士金田は、交通事故で肩鎖関節脱臼受傷事案を何例も取り扱ってきています。お困りの方は、まずはお早めにご相談ください。