玉突事故の親子3人被害者が治療費以外に総額1000万円余り獲得

 
交通事故で車に乗っていたご家族みなさんがけがをした場合、お仕事への影響はもちろん、みなさんがけがをしたことで事故後の日常生活がとても大変になります。

このような場合、特に、こうむった損害に見合った賠償を受けることはとても重要になります。

損害に見合った賠償を受けるには事故直後から適切な通院をするなど被害者側も努力しなければならないことが少なくありません。

当法律事務所では事故直後から適切な賠償を受けるためのサポートを行っております。

以下、親子3人の被害者の事例をご紹介いたします。

 

  • 事故状況 被害者

 
ご主人(50代)、奥様(40代)と女子中学生のお子様の3人が自家用車に乗り、渋滞で停車していたところ、後方からトラックが乗用車に追突し、その勢いで、ご家族が乗っていた車も、前にいた車に衝突したという交通事故でした(玉突事故でした。)。

3人とも現場近くの病院に救急搬送されることになりました。

 

  • その後の経過

さいわい、3人とも頭部に異常はなく、骨折もありませんでしたが、複数の部位に症状が出ており、近くの整形外科に通院されることになりました。

事故から3週間ほど経ち、奥様から当法律事務所へお電話をいただきました。

奥様の肩の調子が良くないのと、通院先の整形外科の対応がご心配ごとでした。
3人とも無料相談にお越しになりました。
事故状況をお聞きし、被害車両の損傷写真を確認しました。
被害車両は後部も前部も相当損傷していました。

3人それぞれの自覚症状もお聞きしました。
奥様が心配された点ですが、通院先の整形外科の対応については全く問題がなく、きちんとここで通院リハビリを続ける必要があることを指摘しました。

また、奥様の肩についてはかなり症状がありそうなので、これらの部位については主治医の先生に急いでMRI検査の相談をしていただくようアドバイスをしました。お子様の足部(足首の部分です)も同じような問題がありましたので、この点についても急いでMRI検査の相談をしていただく必要がある旨アドバイスをしました。

3人ともくび又は腰に症状が出ていたので、この点も主治医の先生にMRI検査の相談をしていただくようアドバイスをしました。

3人とも弁護士費用特約の適用がある事案でしたので、相談後間もなくして当法律事務所弁護士がご依頼をお受けしました。

奥様の肩とお子様の足部は相談後まもなくMRI検査が実施され、結果、異常所見がうかがえるとのことでした。

また、後に、3人ともくびや腰のMRI検査が実施されました。

3人とも約6か月通院し、症状固定となりました。
症状固定までの通院実日数は、ご主人が95日、奥様が92日、お子様が84日でした。

症状固定となっても3人とも症状が残ったので、後遺障害診断をすることになりました。

 

  • 3人とも後遺障害14級が認定されました。

 
後遺障害等級の申し立ても弁護士が代理して行いました。
結果は以下のとおりです。

ご主人は腰部の痛みなどで後遺障害14級9号
奥様は、くびの痛みなどで14級9号、肩の痛みで14級9号(併合14級)
お子様は、くびの痛みで14級9号、足部の痛みで14級9号(併合14級)

 

  • 示談交渉

 
※ 以下の金額は1万円未満省略しております。
※ 以下の金額は、示談前に支払い済みの金額(治療関係費)を除いた金額です。

最終の示談交渉も弁護士が代理しました。
3人とも示談で合意ができました。

ご主人は最終229万円の支払いを、
奥様は最終376万円の支払いを、
お子様は最終200万円の支払いを、

それぞれ支払いを受けることができました。

それぞれ14級が認定されましたので、上記最終支払金に加え、自賠責保険から75万円ずつの支払いを受けておられました。
したがって、3人の総額で1000万円余りの賠償を受けることになりました。

弁護士費用特約のある事案でしたので、弁護士費用は全額契約されている保険会社からの支払いでまかなわれることになりました。

 

  • 交渉上のポイント

 
※ 以下の金額は1万円未満省略しております。

● ご主人が離職中であった点

ご主人は、事故前年に、前々職から前職に転職し、事故の2か月前に前職を離職し、少し休んで就職しようとした矢先に事故にあいました。
後遺障害逸失利益の基礎収入が争点になります。
しかし、こちらから詳細な主張をし、事故前の年収(約430万円)にもとづき、5%の労働能力が5年間喪失したという計算での金額で合意ができました。

 ● ご主人が腰のヘルニアの手術をしていた点

ご主人は事故で腰も受傷しましたが、事故の2年前に腰椎ヘルニアの手術をしました。
このヘルニアの手術があった点は、素因減額として損害額が減額される可能性が出てきます。
しかし、こちらからは、ヘルニア手術後交通事故まで腰の症状は全くなかったこと、事故の衝撃が相当大きかったこと、腰の症状に関して後遺障害14級を認定した自賠責保険が、腰について既存障害と評価していなかったことを主張し(その他にも主張した点がありますが省略いたします。)、減額なしの合意ができました。

 ● 奥様の家事労働損害

奥様は専業家事従事者でしたが、事故後の症状がひどく、結果、2部位に後遺障害14級が認定されました。
家事休業損害に関し、132万円(休業期間6か月)の合意ができました。
また、後遺障害逸失利益は、81万円で合意ができました(377万円の年収が5年間5%喪失した計算です。)。

 ● お子様の後遺障害逸失利益に関し

中学3年生のお子様(女子)も2部位で後遺障害14級が認定されました。
この場合の年収ですが、賃金センサスの女性の平均賃金ではなく、男女計の平均賃金(497万円)を主張しました。結果、以下の計算に基づく金額での合意ができました。

 497万円×0.05×(4.3295-2.7232)

上記の労働能力喪失期間は症状固定後5年間を前提とした数字なのですが、賠償上の就労開始時期は18歳になりますので、18歳までの3年間は待機期間とみなされ、5年の係数4.3295から3年の係数2.7232を引いた数字を掛けることになります。

このように示談交渉といっても、争点がたくさんでてくることがあります。
適正妥当な賠償を得るために、争点を一つ一つ細かく検討していくことは、被害者救済のためにとても大切になってきます。