橈骨遠位端骨折後遺障害14級 人損では弁護士が過失0で変更解決

ご依頼者(被害者)は京都市にお住まいの70代の男性でした。
被害者はバイクに乗り2車線ある右側車線を走行中、左側車線にいた四輪車が路外施設に入ろうと急に右折して衝突するという交通事故にあいました。
被害者はバイクとともに転倒しました。

 

  • 被害者の受傷

被害者は病院に救急搬送され、左橈骨遠位端骨折などを受傷しました。

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
橈骨…ひじから手首にかけての長い骨のうち親指側にある骨のことです。
遠位端…橈骨のうち手首側の端のことです。
つまり、被害者は手首付近を骨折しました。

その後、被害者は自宅の近くの大きな病院に転院することになり、その病院で入院し、折れた骨の手術をすることになりました。

 

  • 物損の交渉

被害者はバイクの損傷に関して相手方任意保険会社担当とご自分で話をされていました。交通事故状況から、被害者は、この事故は避けることができなかったはずだし、自分には過失がないと思っていたのですが、相手方任意保険会社担当は被害者の過失は10%と主張していました。

このとき、被害者は、別の法律相談を受けておられたようなのですが、特に明確なアドバイスを受けておられたわけではなかったようです。

被害者は、過失割合を争うことは難しいと考え、物損では渋々90対10で合意しました。

 

  • 通院状況

 
被害者には左手首のしびれや運動制限といった症状がありました。
けがについては、被害者は大きな病院でリハビリを行っていましたが、事故から5ヶ月を経過したところでリハビリは終了する旨病院から言われました。
このような経緯もあり、当法律事務所の無料相談にお越しになりました。

 

  • 当法律事務所の無料相談 弁護士が依頼を受ける

 
被害者は当法律事務所にお越しになり、治療状況、過失割合の話の経緯、休業損害のことなどをお話になりました。
被害者は自営業者でしたが、事故のためしばらく休業せざるを得ない状態になったのです。

ご相談を経て、当法律事務所弁護士がご依頼をお受けすることになりました。

ご依頼をお受けした時点で一番心配だったのが、リハビリを継続しなくていいのかどうかということと、今後の通院はどうなるのかということでした。

この点を確認するために、弁護士が被害者と病院に同行することになりました。
しかし、事前に被害者から病院に弁護士が同行する旨の連絡を入れていただいていたにもかかわらず、主治医の先生の対応は冷たいものでした。
結局、被害者の手首の骨折に関してはリハビリとしては終了ということになり、あとは日常の中で手首を動かして改善に向けてがんばっていくとのことで、抜釘(ばってい:骨折部位に入れたプレートを抜くことです。)の後、問題がなければそこで症状固定となるとのことでした。

 

  • 後遺障害等級認定

 
その後、被害者は抜釘入院をされ、症状固定となり、後遺障害診断となりました。
被害者には左手首のしびれや運動制限が残っていました。
左手関節は、右手関節に比べて可動域の制限はありましたが、後遺障害診断書上、右手関節に比べて4分の3以上の可動域はとれていました。

後遺障害等級認定結果では、左手首の骨折部分の骨癒合は良好で、関節面の不整は認められなかったものの、左手のしびれについては受傷当初から症状の訴えの一貫性が認められ、骨折の状態、治療状況等も勘案され、後遺障害14級9号が認定されました。

 

  • 示談交渉

 
後遺障害14級が認定されたことを受け、被害者と相談のうえ、最終の示談交渉に入ることになりました。

過失割合
弁護士受任前の物損では被害者10%、相手方90%の過失割合で合意されていましたが、受任後、弁護士が刑事記録を取り寄せ、確認したところ、以下の点がわかりました。

・四輪車は2車線ある左側車線を通行中、対向車線(これも2車線です)の右側の路外施設に行くことを急きょ決め、四輪車が走行していた隣の車線(右側車線)を横断して進行しようとしたこと。
・四輪車は、右後方を確認せずにこの横断右折をしようとしたこと。
・四輪車は衝突まで被害者とバイクの存在に気付いていなかったこと。
・刑事記録上、四輪車は合図を出したという記載になっていたが、右折と同時に右折の合図をした記載になっていたこと。
(※ 上記のほかにもまだ事情がありました。)

以上の点などを確認、検討し、弁護士は、これは四輪車が大回りをして無謀に右折をしようとしたケースであり、被害者がこの衝突を避けることは不可能だったケースであると考えました。
被害者と相談し、被害者の言い分どおり、人身損害では当方の過失はなしという主張をしていくことになりました。

付添看護費用
被害者は手術のために入院をしなければならなくなりましたが、妻の付き添いが必要になったために付添看護費用を請求することになりました。

 
●休業損害
自営業を休んだことによる休業損害は、事前に相手方任意保険会社から支払いを受けていたのですが、90%分の支払いにとどまっていました。
要するに、被害者の過失が10%あるということを前提とした支払い状況になっていたのです。
この点については最終示談で10%分の支払いも求めていくことにしました。
そのほか、事故直後の自営業の休業により、勤務してもらうことになっていたアルバイトの方に対し、急に休業せざるを得なくなったことにより支払をすることになった給与分の損失請求や、被害者は治療中に自営の仕事を辞めざるを得なくなったことによる休業損害の請求をしました(辞めてから症状固定日までの期間を請求しました。)。

 

示談交渉の結果

それまで支払い済みの金額を除き、270万円の支払いを受ける合意ができました。

 ※ 以下の金額は1万円未満省略しております。
主な費目の金額は以下のとおりです。
慰謝料は158万円
後遺障害逸失利益は43万円
後遺障害慰謝料は110万円
(※ 上記後遺障害損害のうち75万円は自賠責保険から支払済みです。)

そのほか、休業損害については、10%減額されていた分、アルバイトの方に勤務の断りを入れ、支払わなければならなくなった給与分の損失分、事故により自営を辞めたことによる分について、いずれも全額支払っていただくことで合意ができました。
また、付添看護費用についても16日分の支払を受ける合意ができました。

後遺障害14級が認定されたことで自賠責保険から支払いを受けた75万円とあわせ、弁護士加入345万円の支払いを受ける合意ができました。

過失割合についても人損では被害者の過失なしで合意ができました。