肩腱板損傷後遺障害12級弁護士加入後1458万円で解決したケース
交通事故 受傷 初診
バイクに乗っていた40代男性のVさん(給与所得者)は、四輪車との交通事故にあい、転倒したときに肩を打ち、受傷しました。
Vさんは、受傷側の肩に強烈な痛みを感じ、受傷側の腕が上がらないばかりか、それ以外の方向の動きも十分ではありませんでした。
土曜日の夕方に遭った交通事故だったこともあり、Vさんは、翌々日の月曜日に医療機関に通院されました。
その後の治療状況(肩の手術の実施)
最初に受傷側の肩のレントゲン検査が実施されましたが、骨折や脱臼は見当たりませんでした。しかし、Vさんの肩の痛みや運動制限はつづきました。
そこで、交通事故の日から5日目に受傷側の肩のMRI検査が実施されました。
MRI検査の結果、受傷側の肩の腱板(「けんばん」といいます。)に損傷が認められ、腱板損傷との確定診断がされました。
●肩の画像検査(レントゲン、MRI)
交通事故で肩を受傷し、
きつい痛みがある
肩の運動が十分に動かない
腕を上げたときに肩に軋轢(あつれき)音がなる
という場合、すぐに医療機関に通院し、医師の先生の診察を受けていただくことが重要です。
医師の先生の診察を受けていただく前に、どのような事故の衝撃で、肩にどのようにエネルギーがかかったのかについては、被害者ご自身の頭の中で整理しておかなければならないと思います。その整理したことを、初診の時に、きちんと医師の先生に説明できるようにしておきましょう。
レントゲンやCTは、骨の外観、骨折の有無を確認するのに適している画像といえますが、比較的やわらかい組織を確認するには無理があるといえます。
もし、レントゲンやCTで骨折や脱臼がなかった場合、(もちろん、どのような交通事故の衝撃で肩を受傷したのかにもよりますが)肩の腱板が断裂や損傷をしていないかを確認してもらうべきです。
肩の腱板はやわらかい組織ですので、腱板が損傷しているかどうかを確認するにはMRI検査が適しているといえます。
※ただし、レントゲンでも、肩峰(けんぽう:かんたんにいいますと、肩甲骨のうち肩の上の端の部分です)と上腕骨の骨頭(うでの骨のうち肩側の端の丸い部分のことです)間が狭くなっているかどうかを確認されます。
肩関節のMRI検査を実施していただくことになります。
このMRI検査は、事故後早めに実施していただくべきです。
本件では、事故後わずか5日後にMRI検査が実施されました。
●肩の腱板とは?
肩を動かしたりするのに役立ったり、肩の関節を安定させる役割をもちます。
腱板は、
肩甲下筋(けんこうかきん)腱
棘上筋(きょくじょうきん)腱
棘下筋(きょくかきん)腱
小円筋(しょうえんきん)腱
という4つから成り立っています。
肩の腱板損傷(断裂)で多く見られるのは棘上筋腱の損傷といえます。
肩の腱板損傷があった場合、肩の痛み、肩の運動制限が生じるおそれがあります。
その後も、Vさんは転院し、リハビリや投薬といった治療をしましたが、きつい肩の痛みと肩の運動制限(大きな制限がありました。)は、良くならず、仕事をするのにも影響したので、別の病院で診察を受ました。
そこでは、関節腔内注射を打つことになりましたが、肩を手術する必要があると言われました。Vさんは悩み、考えましたが、肩のきつい痛みや大きな運動制限が少しでもよくなりたいという気持ちで、鏡視下腱板修復術という手術を受けることになりました。
手術後の状況
肩の手術後、Vさんの肩の痛みや肩の運動制限は手術前よりはよくなりましたが、手術後にリハビリをしても、受傷した側の肩の痛みや運動制限はなくなることはありませんでした。
結局、Vさんの肩は、痛みや運動制限が残ったまま症状固定時期になりました。
●腱板損傷の治療について
腱板損傷を受傷したケースでは、主治医の先生から最初は肩の安静を指示されると思います。
その後は、リハビリ、投薬、場合によっては注射が実施されるケースと(これらを「保存療法」といいます。)、保存療法では効果が乏しいと判断されれば、肩を手術するケースもあります。
当法律事務所の無料相談
症状固定時期になり、後遺障害診断となるとき、Vさんは当法律事務所の無料相談におこしになりました。
無料相談では、腱板損傷で残るおそれがある後遺障害として、痛みやしびれ、肩の可動域制限(運動制限)があることをお伝えしました。肩の可動域制限では、健側(受傷していない側)の肩もきちんと測ってもらう必要があることをお伝えしました。
Vさんの受傷していない方の肩の可動域は、屈曲運動も外転運動も180度動くことが確認できました。つまり、受傷していない側の肩の可動域は制限されていない状態ということになります。
●肩の可動域
屈曲…腕を伸ばしたまま体の前を回して真上に向けて上げる運動のことです。
外転…腕を伸ばしたまま体の真横を回して真上に向けて上げる運動のことです。
関節の可動域の測定は、日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会により決定された「関節可動域表示ならびに測定法」に準拠して定められた測定要領に基づいて行うことになります。
肩の屈曲も外転も参考可動域角度は180度ということになっています。
180度とは、屈曲も外転も体の真上まで上げられる状態ということになります。
●肩は屈曲と外転が重要!
肩の可動域の制限ですが、屈曲と外転・内転が主要運動になります。つまり、屈曲と外転の数値が後遺障害との関係で重要になってきます。
●なぜ受傷していない側の肩の可動域測定が重要なのか?
肩の可動域制限で12級6号という後遺障害が認定されるには、受傷していない側の肩の可動域に比べて受傷した側が4分の3以下に制限されている必要があります。
つまり、受傷していない側の可動域の数値が基準になります。
そうすると、受傷していない側の可動域が180度とれているのに、それより低い数値が記載されていた場合、本来認定されるべき後遺障害等級が認定されないおそれがあるからです。
※交通事故で両肩を受傷した場合などで両肩関節の可動域に制限を生じている場合のケースについては、また個別の相談でアドバイスをさせていただきます。
当法律事務所弁護士受任
無料相談を経て、当法律事務所弁護士がご依頼をお受けすることになりました。
相談での弁護士からのアドバイスを踏まえ、医師の先生により後遺障害診断書が作成されました。
肩の可動域は以下のとおりです(以下は他動値です)。
受傷側 | 受傷していない側 | |
屈曲 | 130度 | 180度 |
伸展 | 50度 | 50度 |
外転 | 130度 | 180度 |
内転 | 0度 | 0度 |
外旋 | 60度 | 60度 |
内旋 | 80度 | 80度 |
Vさんから各資料をお預かりし、弁護士は代理して自賠責保険に後遺障害等級認定の申し立てをしました。
後遺障害等級認定結果
後遺障害12級6号 が認定されました。
肩腱板損傷に伴う肩関節の機能障害は、受傷側が、そうではない側に比べて4分の3以下に制限されていたことから後遺障害12級6号が認定されました。
上記表でいえば、屈曲130度は、受傷いない側の可動域(180度)の4分の3にあたる135度以下になっていますし、外転と内転の合計値180度は、
受傷いない側の可動域(180度+0度=180度)の4分の3にあたる135度以下になっています。
受傷側の安静時や可動時の痛みは、後遺障害12級6号に含めての評価になりました。
当法律事務所弁護士による示談交渉
最終の示談交渉も当法律事務所弁護士が代理して行いました。
示談交渉では、後遺障害逸失利益 という損害費目のことで双方の主張が対立しました。
相手方は、腱板の手術までしたのだから、67歳まで労働能力は失われるものではないと主張しました。
当方からは、Vさんのケースは受傷した肩の可動域制限は生涯続く可能性が高いという医師の先生の意見書まで提出しました。
結果、治療費や休業損害などの既払分を除き1234万円(千円以下省略しております。)の支払い受ける合意ができました。
後遺障害12級が認定され、自賠責保険224万の支払いを受けた分を含め、弁護士受任後 1458万円(千円以下省略しております。)の支払いを受けることになりました。
主な損害費目に関する金額は以下のとおりです(千円以下省略しております。)。
傷害慰謝料 176万円
後遺障害逸失利益 973万円
後遺障害慰謝料 280万円
後遺障害逸失利益の金額は、症状固定時から67歳まで14%労働能力を失われた計算によります。
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