むちうち 交通事故から最初の4ヶ月余りの通院日数が17日だったもののその後も通院を続け、後遺障害14級が認定されたケース

京都市にお住まいのVさん(30代男性会社員)が被害者です。Vさんは、自家用車を運転し、赤信号で停車していたとき、その2台後ろの車の運転手が居眠りのままノーブレーキで、その前の車(この車もVさんの車のすぐ後ろで赤信号停車していました。)に追突し、その車がVさんの車の後ろに追突しました。
いわゆる玉突き事故です。

Vさんの車は加害者の車両の2台前でしたが、この玉突き交通事故によりVさんの車の後部は大きく損傷し、ナンバープレートはぐにゃっと曲がり、バンパー中央が割れました。
それどころか、Vさんの車の裏側も凹んでいました。
これらの写真をVさんはちゃんと撮っておられました。
加害者の車両のエアバッグは開いていました。
追突の衝撃はこのように大きなものでした。

 
●交通事故で車のエアバッグが開いた
交通事故で、加害車両でも被害車両でも、そのエアバッグが開いたら、基本的には衝突の衝撃が大きかったと推測されます。事故の衝撃の大きさは、けがの程度に関連する重要なことですので、交通事故にあわれた場合、エアバッグが開いたのかどうかはきちんと確認しておく必要があります。

 

  • 受傷、治療

この交通事故は夜に発生したのですが、初めて交通事故に遭ったVさんは、事故後、頭痛やとても強いくびの痛みを感じ、翌朝、病院に通院しました。

交通事故から半月後、Vさんは勤務先の近くの整形外科医院を見つけて通院されることになりました。Vさんは理学療法(リハビリ)をすることになったのですが、最初、どれくらいの頻度で通院したらいいのか医院から特に指摘がありませんでしたので、週1回通院してリハビリを行い、飲み薬をもらう日々が4ヶ月余りほど続きました。

この事故から4ヶ月余りの通院日数は17日にとどまっていました。

しかし、首の痛みがとても強いうえ、頭の痛み、左腕にも痛みがあり、力が入らない状態になっていたVさんは、週1回程度の通院を続けてもあまり症状が改善せず、家でも職場でもつらい思いをしていました。

そこで、通院先の診察の際に相談したら、リハビリの回数を増やすよう言われ、Vさんは頻度を増やして通院、リハビリをすることにされました。

●交通事故でむちうちや腰椎捻挫となり、どこの整形外科に通院するか?
お仕事をしておられる会社員の方で、交通事故でむちうちや腰椎捻挫を受傷したけど家の近くに整形外科がないとお悩みの方もおられるかと思います。

通院については、医師の先生の診察はおそらく2週間~1ヶ月に一度のペースでされ、それ以外はリハビリだけの通院で終わるという流れになると思われます。リハビリだけですと、整形外科にいる時間おおよそ20分~30分くらいですむケースが多いと思われます。

ですので、もし、お時間の融通がきくのであれば、勤務先の近くにリハビリ施設のある整形外科医院があれば、そこへ通院するというのも一つの方法です。

 

  • 当法律事務所無料相談のご利用

 
Vさんは頻度を増やして整形外科に通院していましたが、リハビリを繰り返しても症状が変わらないので、頚椎のMRI検査を受けることになりました。
Vさんは紹介先のクリニックでMRI検査を受けました。

MRI検査を受けたといっても、今後どうなるのか不安に思われ、当法律事務所の無料相談をご利用になりました。

VさんがMRIのCD-Rを持っておられたので、当法律事務所弁護士が無料相談でMRI画像を確認しました。すると、ある部位の椎間板で(髄核が脱出していて)後ろに突出しているというかなりはっきりした像があるのがわかりました。また、それが左側に突出している像も見ることができました。

当法律事務所弁護士は、Vさんに、くびの痛みや左腕の痛み・脱力感は、かなりはっきりとした画像が出ていると思われるので、痛みを説明できそうと思いますが、この点はきちんと主治医の先生から説明を受けてくださいと言いました。

すると、Vさんは、実は主治医の整形外科の先生からも、弁護士が指摘したものと同じ部位で大きめの頚椎椎間板ヘルニアがあると言われたとのことで、くびの痛みや左腕の症状はこれ以上きつくならないようにつきあっていかないとだめだとも言われたようでした。

弁護士は、今後のことに関しアドバイスをするとともに、MRI画像を見て、症状が残る可能性が高いと思うので、後遺障害の問題が出てくる点も伝えました。

Vさんには弁護士費用特約の適用がありましたが、そのときは弁護士に依頼することは大げさなことと思っておられたような感じや悩んでおられる感じがありましたので、弁護士は必要なアドバイスや、弁護士費用特約のしくみ、弁護士が依頼を受けてどう動くのかなどを伝えて、もしまた今後当法律事務所にご入り用があれば、ご遠慮なくご連絡くださいとお伝えし、無料相談は終わりました。

 

  • 当法律事務所弁護士による受任

 
その後、Vさんはリハビリをがんばりましたが(もちろん飲み薬の処方も受けました)、やはり症状が改善しませんでした。

そして、相手方任意保険会社との話で治療終了時期が決まり、あと数日で症状固定となるという段階で、当法律事務所にお電話をいただき、弁護士がご依頼をお受けすることになりました。

その時点でVさんは、おおよそ9ヶ月あまりで100日ほど通院されている状況でした。

当法律事務所弁護士は、後遺障害等級認定の申し立てを代理しました。
主治医の先生に作成いただいた後遺障害診断書はVさんからお預かりし、その内容を確認し、その他の資料も整え、自賠責保険会社に提出しました。

 当法律事務所弁護士は、実際にVさんの症状がきついことはよくわかるのですが、事故から最初の4ヶ月の通院日数が週1回ペースであったことがひっかかり、これが少ないという判断をされ、自賠責の後遺障害に該当しないという結果が出るおそれがあると思っていました(このことは事前にVさんにも伝えていました。)。

 

  • 後遺障害等級認定申立中…

 
自賠責損害調査事務所から、主治医に対して医療調査をしたいということで同意書の作成を求められました。Vさんには同意書の記載と郵送をお願いし、その後調査事務所が医療機関に調査をかけました。

 

後遺障害等級認定結果

 
結論は、くびの痛み、頭痛、左腕の症状に関して、後遺障害14級9号が認定されました

 

後遺障害14級認定判断の理由では…

 
さきほど述べた部位の椎間板には左優位の神経根の圧迫所見が認められるとのことでした。

しかし、腱反射、筋力、筋萎縮に特段の異常が見られなかったことから後遺障害12級の認定には至りませんでした。

もっとも、自賠責損害調査事務所の調査の結果、症状の訴えの一貫性が認められ、治療状況や症状経過を勘案され、後遺障害14級9号が認定されたのです。

当法律事務所弁護士は、厳しい結果も予想していたので、後遺障害等級が認定されたことでひと安心しました。

 

  • 示談交渉

 
その後の方向性について、Vさんは損害賠償請求の方向を希望されましたので、示談交渉をすすめることにしました。

しかし、相手任意保険会社の金額主張との開きが大きく、示談交渉ではまとまる見込みがありませんでした。

そこで、Vさんのご意向をお聞きし、交通事故紛争処理センターを利用することになりました。

 

  • 交通事故紛争処理センターでは…

 
2回の出頭であっせん合意することができました。
すでに支払済みの治療費と14級認定による自賠責保険からの75万円を除き、Vさんは 244万円 の支払いを受けることができました。
ですので、14級自賠責の75万円をあわせると、当法律事務所弁護士が受任してから、Vさんは合計 319万円 の支払いを受けることができました。

主な個々の損害費目はおおむね以下の金額です。

 
●傷害慰謝料(通院慰謝料) …  111万円
後遺障害逸失利益     …   79万円(千円以下省略しています)
※ 事故前年の源泉徴収票の支払金額の5%について、5年間労働能力を失った計算で出した金額です。
●後遺障害慰謝料      …  110万円
(後遺障害逸失利益は自賠責保険から先に受け取った75万円のうちの43万円を含んだ金額です。後遺障害慰謝料は自賠責保険から先に受け取った75万円のうちの32万円を含んだ金額です。)

 

 ひとこと

 
Vさんは、どう転んでも症状が治らないのは変わらなかっただろうから、弁護士に依頼していなかったら、不当に低い金額での話で終わり、さらに苦しい思いをしていただろうから、弁護士に依頼して本当に良かったとおっしゃっていました。