上肢・下肢関節の可動域測定 関節機能障害と後遺症等級

 骨折、脱臼、肩板損傷等で器質的損傷があり、関節の可動域が制限される場合、
関節機能障害として後遺症が認定される可能性があります。

 関節のどういう運動が可動域制限の問題になるか?

 主要運動 と 参考運動 が問題になります。


● 主要運動…各関節(肩、肘、手、前腕、股、膝、足)で、日常動作にとって
最も重要なものをいいます。
(上肢・下肢のうち、肩関節と股関節については、主要運動が2つ
あります。肘、手、前腕、膝、足の各関節は1つです。)

 

 主要運動参考運動
 肩     屈曲|外転・内転伸展|外旋・内旋
 肘屈曲・伸展 
 手屈曲・伸展橈屈|尺屈
 前腕  回内・回外 
 股屈曲・伸展|外転・内転外旋・内旋
 膝屈曲・伸展 
 足屈曲・伸展 

 

● 同一面の運動は(外転と内転、屈曲と伸展など)、各運動の可動域の合計値で
評価されます。ただし、肩関節は、屈曲と伸展はそれぞれ独立して可動域を評価します。

 

主要運動と参考運動の関係は?

 関節機能障害は、原則、主要運動の可動域の制限で評価します。

ただし、主要運動の可動域が2分の1または4分の3をわずかに上回る場合
(上回るとは患側の可動域が健側のそれを上回るという意味です。)、その
該当する関節の参考運動の可動域が2分の1以下または4分の3以下に制限され
ていれば、関節の著しい機能障害、または関節機能障害を認定するとされて
います(参考運動が複数あれば、うち1つが上記のとおり制限され
ていれば足りるとされています。)。


※「わずかに」の程度は…
5度(ただし、上肢・下肢のうち、肩の屈曲と外転、手と股の屈曲・伸展に
ついては10度)

 

上肢・下肢のうち主要運動が複数ある関節の可動域制限について

 肩関節と股関節は、主要運動が複数あります。


関節の用廃に該当するには…全ての主要運動が強直となることが要件です。
著しい機能障害・機能障害に該当するには…主要運動のいずれか1つが要件
を満たせばよいとされています。

 

参考可動域

 可動域は、原則、患側(障害が残った側)と健側(障害が残っていない側)の
可動域を測定し、患側が健側に比べ、どれくらい可動域が制限されているかを測定します
。


ただし、


・交通事故で受傷した上肢関節や下肢関節が右だが、同じ関節の左もそれ以前
から機能障害がある。
・交通事故で左右両方の関節を受傷した

といった場合には、参考可動域と比較します。
このような場合には注意点があります。
お早めに当事務所にご相談ください。

 

自動と他動

 可動域制限による関節機能障害についての等級の判断は、 原則、

 他動運動(他者の手などで可能な関節運動)での測定による数字をみます。

 ただし、
他動運動による測定を採用することが適切ではない場合、自動運動(患者
が自分で動かせる関節運動)で測定した数値を参考に認定判断がなされること
になります。具体的な内容については、当事務所でのご相談でのご説明という
ことになります。

 

関節機能障害の種類 

※ 上肢三大関節とは…肩、肘、手の関節のことです。
※ 下肢三大関節とは…股、膝、足の関節のことです。

● 関節の用を廃したもの…8級6号、8級7号

  一上肢の三大関節のうち一関節の用を廃したもの、または、一下肢三大
関節のうち一関節の用を廃したものをいいます。


関節の用を廃したものとは…関節が強直したもの「関節が強直」とは…
以下幾つかの該当要素があります。


・関節が全く可動しないまたはこれに近い状態
(「これに近い」とは、患側の可動域が健側の10%程度以下に制限
されているものをいいます。)
・関節が完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態
(「これに近い」とは、他動では可動するが自動では患側の可動域が
健側の10%程度以下に制限されているものをいいます。)
・関節に人工関節や人工骨頭が入り、かつ、患側の可動域が健側の2分の
1以下に制限されているもの


※「強直」について、肩関節では補足の説明が必要な点がありますが、
ここでは省略いたします。
※ 可動域は5度単位で切り上げて計算します。


● 二関節の用を廃したもの…6級6号、6級7号

  一上肢の三大関節のうち二関節の用を廃したもの、または、一下肢三大
関節のうち二関節の用を廃したものをいいます。
「用を廃したもの」の意味は上の8級6号や8級7号の場合と同じです。


● 一上肢の用(または一下肢の用)を全廃したもの…5級6号、5級7号
 「一上肢(または一下肢)」、「全廃」の意味は以下のとおりです。

 ・上肢であれば、肩、肘及び手関節の全てが強直し、かつ、手指の全部の用を
廃したもの(手指の用廃についてはここでは省略いたします。)をいいます。
・上腕神経叢の完全麻痺
・下肢であれば、股、膝及び足関節の全てが強直したもの


● 両上肢の用(または両下肢の用)を全廃したもの…1級4号、1級6号

 「全廃」の意味は、上の5級6号や5級7号のとおりです。


● 一関節の著しい機能障害…10級10号、10級11号

  「著しい機能障害」とは…以下の該当要素があります。

 ・一上肢又は一下肢の三大関節のうちの一関節の患側の可動域が健側の2分の1
以下に制限されているもの
・関節に人工関節や人工骨頭が入り、かつ、患側の可動域が健側の2分の1を
超えているもの


● 一関節の機能障害…12級6号、12級7号

 「機能障害」とは…
一上肢又は一下肢の三大関節のうちの一関節の患側の可動域が健側の4分の3
以下に制限されているもの

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