玉突き事故と過失割合は?想定される後遺障害や注意点について弁護士が解説!
(令和5年8月15日原稿作成)
当法律事務所による玉突き事故の解決事例
以下をご覧ください。
3台玉突き事故の先頭車で受傷された方のケース 後遺障害14級 弁護士受任後389万円の支払を受けました。
玉突き事故とは?
「玉突き(たまつき)」とは、ことばどおり忠実に説明しますと、後ろの車が前にいた車に追突し、追突された車が追突の勢いでその前にいた車に追突する事故のことをいいます。
上記の説明から、「玉突き事故」とは、3台以上の四輪車がかかわってくる事故ということになります。
渋滞や信号待ちで停車中に後方から追突され、玉突き事故になるケースが多い印象があります。
当法律事務所がご依頼をお受けしたケースでは、「高速道路ではない一般道路で6台の玉突き事故」というものがありました。
(参考)後ろの車が前にいた車に追突した後、追突した車に、その後ろにいた車が追突した場合…順次追突事故(順突事故)といいます。
玉突き事故と過失割合
玉突き事故が起こった場合、過失割合がどうなるのかという問題が出てきます。
つまり、追突を受けた被害者側にも、多かれ少なかれ過失が認められてしまうのかどうかという問題です。
■追突を受けた被害者側に多かれ少なかれ過失が認められてしまうと?
被害を受けた車や物品の損害額、慰謝料などのケガの損害が過失割合分だけ減額となってしまいます。
●渋滞や信号待ちで停車中に後方から追突され、玉突き事故になったケース
この場合、一番後ろから追突した車に100%の過失があり、これ以外の前の車は全て過失ゼロになります。
この場合、過失ゼロの当事者は、他の過失ゼロの当事者に対しては、物やケガの損害の請求はできず、一番後ろの加害追突車に対して請求をすることになります。
いいかえれば、一番後ろの加害追突車は、被害を受けた全車両の損害賠償をしなければならないことになります。
●高速道路で通常の走行状態にあった中、一番後ろの車がその前車に追突し、玉突き事故になったケース
このケースも、一番後ろから追突した車に100%の過失があり、これ以外の前の車は全て過失ゼロになるでしょう。
この場合も、過失ゼロの当事者は、一番後ろの加害追突車に対し物やケガの賠償請求をすることになります。
●玉突き事故であれば、一番後ろの追突してきた車両のみが過失100%になるというわけではありません
道路交通法24条は、危険防止のためやむを得ない場合を除いて急ブレーキをかけてはいけないと定めています。
ですので、前にいた車両が急ブレーキをふんだために追突を受け、玉突き事故を受けたようなケースでは、急ブレーキをふんだ車にも一定の過失が認められることになります。
また、高速道路上は原則駐停車禁止になります(道路交通法75条の8)。高速道路上で駐停車をしたために追突を受け、玉突き事故を受けたようなケースでも、駐停車した車には一定の過失が認められることになるでしょう。
追突・玉突き事故を受けた車の過失がゼロにならないであろうケースで、その車の過失割合がどのくらいになる見込みかについては、弁護士の交通事故無料相談を受けていただくことが望ましいと思います。弁護士としてもくわしい事情をお聞きしないとより正確な見通しを立てることが困難だからです。
●高速道路での玉突き事故に関する以下の当法律事務所の解決事例もごらんください!
後遺障害14級 交通事故証明書に記載のない自賠責保険からも支払いを受けたケース
玉突き事故で損害賠償請求をする相手は?
渋滞や信号待ちで停車中に後方から追突され、玉突き事故になったケースや、高速道路で通常の走行状態にあった中、一番後ろの車がその前車に追突し、玉突き事故になったケースは、一番後ろから追突してきた加害追突車に対して損害賠償請求をすることになります。前の方にいた被害車両は、中間の車両に損害賠償請求をしても、「一番後ろの車両に請求してください。」ということになります。
玉突き事故とケガの程度について注意していただきたいこと
●加害追突車側と連絡先を交換し、加害追突車側の保険会社からこちらに連絡をもらうよう求める。
●自分の体に痛みや異変があれば、その日のうちに病院や医院に通院する!(加害追突車側の保険会社から連絡があっったらこの点も伝えて治療費の支払いについて話をすることになります。)
●玉突き事故のケースでは、追突を受けた複数台の被害車では、より前方にいた車ほど比較的衝撃が軽いと見られる傾向にあります(つまり、加害追突車のすぐ前の車が受けた衝撃が最も大きいということです。)。
ですので、より前方にいた車は特に、車の損傷状況の写真、後方を映しているドライブレコーダーの映像(車内を映している映像もあれば、追突時の被害者の様子もわかるかもしれません。)、車両の修理見積内容などを準備しておく必要があります。
玉突き事故でケガをした場合に認められる可能性がある損害
主に以下の費目が問題になります。
●治療費
●通院交通費
●文書代
●休業損害(給与所得者、自営業者、家族のために家事をする方の家事労働など)
●傷害慰謝料(基本は入通院の日数と期間をもとに算定していきますが、細かい検討が必要です。)
●(自賠責後遺障害等級が認定されたら)後遺障害逸失利益
●(自賠責後遺障害等級が認定されたら)後遺障害慰謝料
※上記のほかに、入院を余儀なくされた場合、入院雑費などが問題になり、身体の状態などから付き添い看護の必要性が認められた場合には入院通院の付き添い看護費が請求できます。
玉突き事故と想定される後遺障害
車という「箱」の中にいた際に受けたケガですので、脳挫傷や骨折といった重傷を負うようなケースは少ないというのが当法律事務所での経験上の印象です。
ですので、頚椎捻挫(むちうち)、腰椎捻挫(腰のねんざ)といった捻挫、打撲を受傷するケースが圧倒的に多いとはいえます。
ただし、助手席の方が、ひざをダッシュボードにぶつけて重傷を負うといったケースはあり得ます。
また、当法律事務所がご依頼をお受けしたケースでは、追突の衝撃が極めて大きかったために、脊髄損傷(せきずいそんしょう)を負った というものがありました(頚椎というくびの骨の骨折はありませんでしたが、事故直後のMRI画像上、脊髄損傷所見が認められたケースでした。)。
さらに、当法律事務所がご依頼をお受けしたケースには、6台の玉突き事故(被害車は加害追突車のすぐ前にいました。)で、運転者が顔を車内にぶつけて血を流し、バックドアが完全に割れ、メンタルを患い、精神科専門医の先生に非器質性精神障害(PTSD)と診断されたケースがありました。
以下の事例です。
交通事故PTSD後遺障害14級560万円の支払いを受けたケース
まとめ
玉突き事故には色々な問題があり、それも難しい問題点も出てきます。
お早めに、交通事故問題をたくさん取り扱っている弁護士の無料相談をご利用ください。