交通事故でけがをしたときの損害

 
交通事故でけがをしたときの損害については大きく、積極損害消極損害慰謝料の3つに分けられます。
主なものを挙げておきます。

積極損害

おもなものとして、入通院に関する損害があげられます。

入通院に関する損害については以下のとおりです。

治療費関係費

以下、例を挙げます。

治療費

治療費については、必要かつ相当な実費が認められます。しかし、高額診療や過剰診療、濃厚診療であるとして、一定額以上は請求できない場合があります。

入院費の室料

平均的な一般病室が室料の基準となるでしょう。特別室の使用は、空きベッドがない場合や受傷状況により必要と認められない限りは、その室料を請求することは難しいでしょう。

入通院付添看護費

交通事故でけがをした人を、そばにつきそって手助けをする必要があるケースでは、付添看護の費用が損害として問題になってきます。

交通事故で問題となる付添看護費用は大きく分けて、以下のものが問題となります。

・入院付添看護費 
・通院付添看護費

これらのほかに、重度後遺障害の場合では、症状固定後に将来介護費用が問題になるケースがあります。くわしくは当事務所にご相談ください。

 

■付添看護費が認められるための条件は?

 基本は、以下のとおりです。(もちろん、実際の付添の事実があることが前提です。)

・医師の指示があった場合
・けがをした部位、けがの内容、けがの程度、けがをした人の年齢などから考えて、付添の必要性が認められる場合(看護体制が整っている医療機関であったとしても、これら各内容によっては付添看護費用が認められることがあります)。

 

■付添看護費の目安金額は?

 大阪の裁判基準では、以下の目安となる基準があります。

 近親者入院付添看護の場合…1日6000円
 近親者通院付添看護の場合…1日3000円

・職業付添人による看護の場合には別途の考慮が必要になります。
・仕事を休んで付き添った場合にも、別途の考慮が必要になります。
(※これらの場合、具体的なことは当事務所でご相談ください。)

付添看護費用については、上でも述べたとおり、

被害者の受傷部位や受傷の程度(たとえば、脳や脊髄の損傷、手足を骨折した場合など)
被害者の年齢(幼児など)

などといったことをくわしくふまえて主張する必要があります。

入院雑費

交通事故の被害にあい、けがをし、入院した場合、入院中の日用品などがどうしてもかかってしまうものです。
これらは、交通事故にあわなければ支出する必要がなかった費用ですので、損害賠償の対象になります。

 

■入院雑費はどのくらいの金額になるのか?

大阪の裁判基準では1日の入院につき1500円となります。

自賠責保険の基準では、原則として1日の入院につき1100円とされています。

入院があったケースでは、最終示談の段階になり相手方の任意保険会社からの事前提示で、入院雑費が日額1100円の提示がでてくることがあります。

入院がよほど長期にわたらなければ、上記裁判基準と自賠責保険基準の差はそれほど大きくなく、また、全体の損害額のうちの入院雑費の割合はわずかなものにしかならないことが多いですから、入院雑費が大きな争点になることはあまりないといえるかもしれません。

しかし、細かな点であるといっても、基準額よりも低い提示をそのまま見過ごすべきではないといえます。
また、入院中や退院直後の段階で、個々の物品が入院雑費として認められるのかどうかが争いになるケースもないわけではありません。疑問があれば、一度当事務所にご連絡いただき、無料相談をお受けいただければと思います。

 

■将来の雑費

たとえば、交通事故の被害にあい、重度の後遺症(後遺障害)が残存したケースで、事故が原因で後遺症(後遺障害)が残ったために紙おむつなどが将来ずっと必要になるというケースがあります。

このような場合には、将来の雑費も損害となる可能性があります。具体的にどのように損害を計算していくのかは、当事務所の無料相談にお越しいただければと思います。

将来の雑費については、ケースにより、非常に高額になる場合があります。あれはどうなるんだろう、これはどうなるんだろうと疑問をお持ちの方は、ぜひ、当事務所の無料相談にお越しいただければと思います。

通院等の交通費

医療施設への入退院、通院の際にかかった電車、バスなどの公共交通機関の使用料金については実費相当額が認められますが、タクシーの利用に関しては、交通機関の便、被害者の年齢・けがの程度など、相当性がある場合に限られます。

診断書等の文書料

必要性相当性があれば認められます。

消極損害

大きく分けて、休業損害と、後遺障害が残った場合の後遺障害逸失利益があります。

休業損害

かんたんには、傷害事故における、治癒時又は症状固定時までに被害者に生じた収入の減少のことをいいます。
休業損害の計算ですが、通常、基礎収入に休業期間を乗じます有給休暇を利用した期間も休業期間に含まれ、その間の損害も請求することができます。

休業損害の算出について(※ 具体的計算方法については当事務所ご相談ください。)

給与所得者の場合

※ 以下、会社役員の方を除きます。

■ 給与所得者の休業損害についての考え方

交通事故により受傷したために休業してしまい、そのために現実に収入の減少があった場合に、休業損害の発生が問題となります。

■計算方法は?

 事故前3ヶ月の支給額全額を平均して日額収入を計算し、そして、その日額収入に休業日数を乗じて計算していくことが多いといえます(これらの点はケースごとに考慮すべき場合もあるといえます。)。
休業期間についても、治療や症状などからどこまで認められるかが問題となる場合もありますので、個々のケースで弁護士による相談を受けられることをおすすめいたします。なお、休業損害は、認められても最大で症状固定まで(治癒の場合は治癒まで)です。

■収入額とは、手取額? それとも 税込額?

休業損害を考える際の収入額とは、税込額で考えます。

■交通事故で受傷したために休業したが、有給を使った場合は?

有給を使って休業した分は、計算上、収入の減少がないようにも思えます。
しかし、被害者の方自身が本来望まない形での有給の使用になりますので、その分は損害として計算される扱いになります。

■賞与の減額は?

交通事故受傷したために休業を余儀なくされ、結果、賞与も減額となった場合には、賞与の減額も損害として認められることになります。具体的な手続については、当事務所にご相談ください。

■その他

 給与所得者の休業損害に関しては、上記以外にも、色々な問題があります。
くわしくは、個々の具体的ケースを前提にして、当事務所の無料相談にお越しいただければと思います。

専業主婦(家事従事者)の場合

交通事故による負傷のために家事労働に従事できなかった期間について休業損害が認められます。
専業主婦の場合、「賃金センサス」の女子全年齢平均賃金に基づき休業損害を算出することができます。
なお、パート収入等のある兼業主婦の場合は、実際の収入額と全年齢平均給与額のいずれか高い方を基礎に休業損害を算出します。

個人事業主の場合

個人で事業を営んでおられる方が交通事故の被害にあった場合、休業損害を
どのように考えていくのでしょうか。

■基本的な考え方

交通事故により受傷したために、現実の収入の減少があった場合に休業損害が認められるというのが基本的な考え方です。

■収入を計算する基礎となる資料は?

事故前の申告所得額を基礎にしていくというのが基本的な考え方です。

※青色申告をされている方は、青色申告特別控除前の金額を基礎とします。

■個人事業主の休業損害には色々な難しい問題があります

給与所得者の場合には、休業損害証明書がありますが、個人事業主の方の場合休業損害証明書を作成しません。
個人事業主の場合、難しい問題が色々とあります。
以下、問題点を一例としてあげておきます。

年収が年ごとに相当変動するような事情のある方はどのように考えていくべき なのか
・実際の収入は申告した所得額を上回っていたという言い分のある方についての考え方
・家族に対する給料の支払いについてはどのように考えていったらいいのか
・交通事故で受傷したため稼働できない期間があったがその間代わりの者を雇った場合にはどうなるのか
・交通事故で受傷して事業を休業したが、休業中の賃料や固定費はどうなるのか

 これらの問題をはじめとした個人事業主の休業損害をどう考えていけばいいのかということについては、ひとことで申し上げられるものではありません。実際にある個々のケースごとに考えていく必要があるといえます。

その意味で、弁護士によるアドバイスはより必要になるといえるでしょう。

無職者の場合

交通事故にあい、けがをして治療中の方の中で、無職の方の休業損害はどのように考えていくことになるのでしょうか。

無職の方や事故当時失業中の方については、収入がないゆえ、この状態が続いている限り休業損害が発生しないという考えにつながります。

しかし、働く意欲や勤労能力などを考慮して(もちろん、被害者の方の年齢、職歴や資格なども考慮の対象になり得ます。)、就職の蓋然性がある場合には認められるものといえます(被害者の年齢、前職の実収入、取得技能や資格などを考慮して収入額を考えていくことになるものと思われます。)。

また、交通事故にあった時に、どこかの会社に就職することが内定していた場合のように具体的に就労の予定があった場合には、一定の休業損害が認められるものといえます。

さらに、交通事故の被害にあった時に失業していたといっても、たとえば、交通事故で重傷を負い治療期間が長期化した場合に、その治療期間中はずっと職に就いていないといえるのかは疑問を持つべきだと思います。このような場合には、あきらめずに休業損害の主張をしていくべきだと思います。

このほか、不動産を賃貸していて、その賃料収入で生計を立てている方の休業侵害はどうなるのかという問題などもあります(その賃貸している方が賃貸物件の管理等をしているという場合もあるでしょう。)。

事故当時無職であった方の休業損害の問題も、かんたんに考えることができない場合があります。

お悩みの方は、一度、当事務所の相談におこしいただければと思います。

後遺障害逸失利益

別の項目でお話をさせていただきます。

慰謝料

大きく分けて、入通院慰謝料と、後遺障害が残った場合の後遺障害慰謝料があります。

入通院慰謝料

かんたんには、事故でけがをし、入通院をしなければならなくなったことにより精神的苦痛をこうむったことによる損害をいいます。
原則、入通院の期間が考慮要素となり算定されます。
金額の目安については当事務所にご相談ください。

後遺障害慰謝料

後遺障害等級が認定された場合に、等級に応じて目安となる金額があります。