後遺障害診断書の記載例
このページでは交通事故における後遺障害診断書の記載例をご紹介させていただきます。
胸椎破裂骨折で脊柱に中程度の変形を残す後遺障害が認定された後遺障害診断書記載例
当事務所がご依頼を受けて、後遺障害等級認定申請手続を行い、後遺障害等級が認定された事案に関し、後遺障害診断書の記載をご紹介いたします(掲載につきご承諾をいただいております。)。
■症状、後遺障害等級
この被害者の方は、脊柱の中程度の変形障害(第8級相当)以外に、
高次脳機能障害が残存して第7級4号
外貌に相当程度の醜状が残存して第9級16号
が認定され、併合5級が認定されましたが、今回、脊柱変形障害についての部分のみご紹介いたします。
被害者:40代男性
傷病名:胸椎破裂骨折
(実際には、脳挫傷、下顎骨骨折、鎖骨骨折等その他の傷病名もありましたが、ここでは省略いたします。)
等級:後遺障害8級相当(せき柱に中程度の変形を残すもの)
以下、本事案に関する後遺障害診断書の記載(記載のうちの一部をご紹介いたします。
■後遺障害診断書の記載
傷病名の欄
第5胸椎破裂骨折(その他の傷病名は省略いたします。)
自覚症状の欄
胸背部痛(胸椎骨折部周囲)、右肩外側・右下肢のしびれと知覚鈍麻(その他の自覚症状の記載は省略いたします。)
精神・神経の障害他覚症状および検査結果の欄
T5破裂骨折
T1-8まで胸椎後方除圧固定術施行。
T1,2,3,6,7,8に椎弓根スクリューを挿入し、それぞれをロッドで固定した。受傷時のXP,CT,MRIでT5破裂骨折を認めた。
その後、手術施行後の画像評価では、脊椎のアライメント不良を認めるが、T5椎体の圧潰の進行はとまり、骨折部周囲の仮骨形成を認める。
(日付の記載があります)のCTにて後彎の程度;50%以上
(日付の記載があります)のXPにて側彎の程度;50度以下
胸椎破裂骨折は骨癒合は得られているが、椎体圧潰の程度が強く、今後重労働は困難と考える。
T5椎体が50%以上圧潰
T5前方椎体高 4
T5後方椎体高 20
(※人体図は胸背部に疼痛、右肩外側・右下肢にしびれと知覚鈍麻がある旨の記載になっていました。
脊柱の障害欄
T5破裂骨折
T1-8の後方除圧固定(T1,2,3,6,7,8に椎弓根スクリューを挿入、T5椎弓切除)
運動障害欄
※可動域は2分の1以下に制限されていませんでした。
腰椎捻挫で後遺障害等級12級13号が認定された事案の後遺障害診断書記載例
当法律事務所がご依頼を受けて、後遺障害等級認定申請手続を行い、後遺障害等級が認定された事案に関し、後遺障害診断書の記載をご紹介いたします(掲載につきご承諾をいただいております。)。
■症状、後遺障害等級
被害者:30代男性
傷病名:頸椎捻挫、腰椎捻挫
既存傷害:ありませんでした
※被害者、加害者ともに四輪車での事故でした。
この被害者の方は、交通事故により上記のけがをし、後遺症が残りました。
当事務所は、治療中からご依頼を受け、後遺障害等級認定申請も代理しました。
等級認定申請は、自賠責保険会社に対して行いました。
その結果、
頚椎捻挫後の症状については14級9号(局部に神経症状を残すもの)
腰椎捻挫後の症状については12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
が認定され、併合12級が認定されました。
本件は、被害者のご了解を得て、以下、後遺障害診断書のうち一部をご紹介させていただきます(※以下のほか、右肩捻挫もありましたが、ここでは省略させていただきます。)。
■後遺障害診断書の記載
傷病名の欄
頸椎捻挫、腰椎捻挫
自覚症状の欄
頚部痛、頚部~右肩への放散痛・しびれ感、頚椎後屈時めまい(+)
腰部痛、腰部~両臀部への放散痛、左下肢しびれ感、腰部運動障害(特に後屈)
座位保持20分以上できない
精神・神経の障害他覚症状および検査結果の欄
ジャクソン右(+)
スパーリング右(+)
ラセーグ左(+)65°
知覚障害 右上肢、左下肢しびれ感
頚椎XP ストレートネック、C1/2、2/3、3/4椎間狭小
腰椎XP L4/5、L5/S1椎間狭小
頚椎MRI C4/5、5/6で椎間板正中背側への脱出(+)
右側の椎間孔狭窄
C6/7で椎間板髄核脱出
腰椎MRI L1/2、2/3、4/5、L5/S1で椎間板髄核脱出
※人体図の欄は、右上肢全体と左下肢全体にしびれ感が、頚部~右肩と腰部~臀部にいずれも圧痛と放散痛がある旨の記載になっていました。
増悪・緩解の見通しに関する欄
神経学的所見あり症状所見とのXP・MRIの所見が整合性を有し緩解は困難と思われる。
■この被害者の方には、以下の点がありました。
1、MRI画像上に異常所見があったこと
頚椎捻挫や腰椎捻挫の傷病で、損害保険料率算出機構により12級13号が認定されるには、後遺障害診断書の記載と同様MRI画像所見が非常に重要になります。
ヘルニアの所見があったとしても、それが経年性のものではなく、外傷性(交通事故の場合、事故の外力によるものという意味です。)のものととらえられることは重要な要素の一つといえます。
当事務所弁護士がこの方の腰部MRI画像を見ても、外傷性のものと推測できるものがありました。また、異常所見の程度も重要といえます。
厳密にいいますと、はっきりとした外傷性といえるかはっきりわからない場合でも椎間板膨張による神経根圧迫所見が認められる等の異常所見の程度によっては12級13号が認定されることもあります。
実際、左寄りに椎間板膨隆による神経根への圧迫が認められました。
2、主治医の先生の神経学的所見
主治医の先生の神経学的所見によると、画像所見に一致した知覚障害の異常所見が一貫して認められていました。
神経学的所見が自覚症状や画像所見と整合性を有することも必要になります。
自覚症状と画像所見の整合性も必要です。
その他、事故の態様、治療状況も重要な要素といえます。
頸椎捻挫や腰椎捻挫で局部に頑固な神経症状を残すものとして12級13号が認定されるには、後遺障害診断書の記載だけで決まるものではありません!
骨折・脱臼事案の後遺障害診断書記載例
実際に当事務所がご依頼を受けた方の後遺障害診断書の記載をご紹介いたします(掲載につきご承諾を頂いております)。
事故が原因で 骨折 や 脱臼 が生じた事例です。
■後遺障害等級
・足関節機能障害が10級
・下肢醜状障害が12級
となり、併合で9級が認定されました。
以下は、足関節機能障害の点についてのみのご紹介となります。
■後遺障害診断書の記載
以下のうち、青字で記載した部分は、最初に弁護士が確認したところ、記載がなかった部分です。 (日付については省略させていただいております。)これらの部分については、少なくとも以下の対応をいたしました。
・当事務所の弁護士が事前に診断書等の医療記録を検討し、実際に存在した症状であったにもかかわらず、後遺障害診断書に記載がなかったので、主治医の先生に記載をお願いしました。
・主治医の先生に検査を依頼したうえで検査が実施され、記載を頂きました。
傷病名
左脛骨骨幹部開放骨折(術後偽関節)
左第5指中手骨開放骨折
左脛骨骨髄炎
左脛腓関節脱臼
精神・神経の障害他覚症状および検査結果
下腿周囲径:右42cm 左37cm(左下腿筋萎縮)
正座不可能
左足趾・足・膝関節に可動域制限あり
左背部に感覚鈍磨
左下腿骨の前方凸の変形癒合あり。左右差約17°の前方屈曲変形
左足趾、足、膝関節に関節拘縮・可動域制限を認める。
左下腿骨は髄内釘挿入したままの状態。
○年○月○日骨折観血的整復術(左下腿)、経皮的鋼綿刺入固定術
○年○月○日骨内異物除去術(左下腿、脛腓関節)
○年○月○日偽関節手術、腸骨移植、全層植皮術(左下腿骨)
○年○月○日骨内異物除去術(左下腿、螺子1本のみ)
関節機能障害
具体的な数値は省略させていただきますが、足関節について、患側(ケガをした方の足のことです)の可動域が健側(ケガをしていない方の足のことです)の2分の1以下に制限された記載がありました。
※ 可動域については、日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会による「関節可動域ならびに測定法」にしたがった数値にご注意いただく必要があります。
障害内容の増悪・緩解の見通しなどについて…
増悪・緩解の見通しなし。
※その他、醜状障害欄(これは形成外科で詳細に記載していただいていました。)、
体幹骨の変形欄、長管骨の変形欄、(上肢・下肢の)短縮欄(左右の差はあり
ませんでした。)に記載がありました。
後遺障害診断書作成を依頼する前に、交通事故にくわしい弁護士に相談を!
法律上、後遺障害診断書の作成権があるのは医師の先生ですが、ご多忙ゆえ、記載に不足などが生じることが少なくありませんし、必要な検査も実施されていないことすらあります。
もし、これらの不備があった場合、被害者やご家族の方では気付くことすら困難なものと言わざるをを得ません。
そうすると、交通事故の後遺障害問題にくわしい弁護士が頼りになってきます。
当法律事務所はお客様からご依頼いただいた場合、一つでも漏れを防ぐべく、後遺障害診断書作成のポイントを整理し、後遺障害診断にのぞんでいただくようにしております。
交通事故に遭ったらほとんどの人は交通事故の後遺障害診断書について分からないことだらけと思います。
『後遺障害診断書のような医学的なことについて、弁護士に相談してもいいの?』と思われるかもしれません。
しかし、後遺障害問題にくわしい弁護士は、後遺障害等級の判断機関である自賠責保険がこれまで下してきた判断をもとに、充実した相談を受けることが可能になります。
お困りの方はぜひ交通事故後遺障害にくわしい弁護士にご相談ください。