追突事故の被害者が弁護士に依頼すべきポイント
(令和7年9月9日原稿作成)
※ここでは物損関係のお話については省略いたします。
※当法律事務所では物損事故のみのご依頼はお受けしておりません。何卒ご理解のほどお願い申し上げます。
追突事故とは
停車中の車両や、より低速で走行している車両のうしろの部分に、走行してきた車両が当たる交通事故のことをいいます。
四輪車の運転性能は日々良くなっているのですが、四輪車が四輪車に追突されるという事故パターンは、やはり、とても多いです。
被害を受けるのは四輪車だけでなく、バイクや自転車も被害を受けることもあります。
後述のとおり自転車が四輪車に追突されて転倒したというケースでは重症となるおそれがありますので、このような場合、すぐに交通事故の後遺障害の問題にくわしい弁護士の無料法律相談を受けた方がいいでしょう。
追突を受けた衝撃が大きかったことの証拠をおさえておく
✦四輪車で追突された被害者の方へ
ご自身のスマホで被害車両の後部の損傷状況の写真をすぐに撮っておいた方がいいでしょう。
追突事故で衝撃を受けて体に症状が出たといっても、ご自身の車の損傷状況の写真ぐらいは撮れると思われます。
※なぜ被害車両の後部損傷状況の写真が重要なのか
事故のために体に症状が出た場合、その症状の程度が、被害車両の損傷状況の程度と比例して考えられる傾向があることを感じており、症状の程度を立証する手段として使っていく必要があるからです(もっとも、四輪車の外見上はっきりした損傷痕がみあたらなくても追突の衝撃が大きかったというケースもあり得ます。)。
■弁護士にすぐに相談し、最終的には依頼すべきといえるケース(もちろん例外もあります)
追突により被害車両の後部が見た目明らかに凹んでいるというケースは、すぐに交通事故のけがの問題にくわしい弁護士の無料法律相談を受けることをおすすめしますし、最終的には弁護士に依頼した方が良いと思われるケースが多いです。
✦バイクや自転車に乗り、追突され、転倒して受傷した被害者の方へ
ご自身のスマホで被害バイク、被害自転車の後部損傷状況の写真をすぐに撮っておいた方がいいのはもちろん、自分の体の変化(あざ、体の表面のきず)があれば、これもすぐ写真に撮っておいていただくべきです。
被害者自身で写真を撮ることが難しければ、ご家族にお願いして撮ってもらいましょう。
これも自分の体に受けた衝撃として立証していくという意味があります(ただし、外面上の変化が特に見られなくても追突の衝撃は大きかったということもあり得ます。)。
■弁護士にすぐに相談し、最終的には依頼すべきといえるケース(もちろん例外もあります)
バイクや自転車に乗り、追突され、転倒したケースは、すぐに交通事故のけがの問題にくわしい弁護士の無料法律相談を受けることをおすすめしますし、最終的には弁護士に依頼した方が良いと思われるケースが多いです。
追突事故の過失割合
自分の車両が赤信号停車中、一時停止規制での停車中や渋滞での停車中に、後方から追突された場合にはこちらの過失はないものと考えられます。
少しでも痛みやしびれを感じれば、すぐに医療機関に通院する
交通事故にあった直後、気が動転していて痛みをそれほど感じないということはあります。
しかし、少しでも痛みやしびれを感じたら、事故にあった当日に通院するようにしましょう(もちろん事故後すぐに病院に救急搬送されるケースもありますが。)。
通院に行かなければ症状はないか軽いと考えられてしまうからです。
通院は、病院、開業医(整形外科、クリニック)に行きましょう。しかし、骨折がない捻挫・打撲にとどまるケースでは、リハビリテーションを実施している開業医(整形外科、クリニック)や病院に通院した方がいいでしょう。
痛みやしびれが続いていれば、内服鎮痛薬の処方を受け、リハビリテーション(理学療法)を実施していただき、通院を続けることになります。
初診で通院する前に相手方任意保険会社に連絡しておきましょう(病院に救急搬送されたときには後で連絡することになりますが。)。
■弁護士にすぐに相談すべきケース
通院している医療機関のことが気になる、どのくらいの頻度で通院したらいいのかわからない という方は、交通事故のケガの問題にくわしい弁護士にすぐに相談された方がいいと思います。
追突事故直後から強烈なくび、腰、背中の痛み、強烈な上肢や下肢のしびれを感じているケース
このケースはすぐに MRI検査 を受けるべきです(圧迫骨折や破裂骨折があるかどうかの判断ではCT検査が実施されると思います。)。
なぜなら、くび(頚椎)や腰椎のMRIで事故で生じたものと考え得る異常所見が認められる可能性があり、この所見は最終的に後遺障害等級の申し立てをするときに極めて重要な証拠になるからです。この検査はできるだけ早く受けていただく必要があるといえます。
くび(頚椎)、むね(胸椎)や腰椎のMRIにより脊椎の圧迫骨折や破裂骨折が認められれば(レントゲンやCTでこれらの骨折が明らかになるケースも多いですが。)、後遺障害等級の認定が見込まれますが、最終の損害賠償問題で早期に撮った画像の異常が重要になる可能性があるからです(金額の多い、少ないに影響する可能性があります。)。
■弁護士にすぐに相談し、最終的には依頼すべきといえるケース(もちろん例外もあります)
事故直後から強烈なくび、腰、背中の痛み、強烈な上肢や下肢のしびれを感じている方は、すぐに交通事故のケガの問題にくわしい弁護士の相談を受けた方がいいですし、最終的には弁護士に依頼すべきといえます。
画像検査だけでなく、事故から間もない段階で医療機関にて受けていただきたい 神経学的検査 があるのですが、それが実施されているのかどうかは、交通事故のケガの問題にくわしい弁護士から指摘を受けて被害者が初めて気づくことが多いというのも理由の一つです。
追突事故の相手方任意保険会社から治療費の支払い打ち切りを告げられたとき
痛みやしびれが続き、病院や開業医への通院を続けていたら、相手方任意保険会社から治療費の支払い打ち切りを告げられます。
この場合、打ち切り通告が早すぎるのか、それともやむなしなのかを考えていく必要がありますし、もちろん、まず、主治医の先生のご意見をうかがう必要があります。
■弁護士にすぐに相談するべきといえるケース
相手方任意保険会社から治療費の支払い打ち切りを告げられたときは、すぐに交通事故のケガの問題にくわしい弁護士に相談をする必要があるといえます。
弁護士に相談し、この打ち切り通告が不当なのかやむなしなのかのアドバイスを受けた方がいいでしょう。
場合によっては弁護士に依頼し、ケースによっては治療費の支払い期間が延長となるケースもありますが、弁護士に依頼しても相手方の態度が硬いケースについては、今後どうするかについてもこの弁護士の相談を受けた方がいいと思われます。
また、打ち切り通告をされた時点は、時期の点だけをとらえると早すぎると考えられるケースでも、通院状況、事故状況、症状の程度などからしてこれ以上の治療費の支払いを受けることは難しいと判断されるケースもありますので、この場合には弁護士への依頼に至らないこともあります。
通院を続けても痛みやしびれが残っている ~後遺障害~
・くびの痛み、手も含めた上肢のしびれ、腰の痛み、足の指も含めた下肢のしびれが残っている方
・頚椎(くびの骨)、胸椎、腰椎の圧迫骨折や破裂骨折と診断され、患部の痛みなどの症状が残っている方
特に、追突事故を受け、上記の症状がある方に申し上げます。
治療を続けても症状が残り、もうすぐ治療の終了となりそうであれば、主治医の先生の最終診察日に後遺障害の診断を受けるべきです。
なぜなら、交通事故の被害者・加害者間の民事問題は、民法第417条によりお金の額(金銭賠償)で解決することになってますが、被害者にとって適正・妥当な金額の賠償を受け取るためには、自賠責保険の後遺障害等級審査を受けてその判断を受ける必要があるからです(自賠責の判断が不当と考えた場合、この結果に対して不服を申し立てることになりますが。)。
しかし、あまりにも通院期間が短いと、通院期間が短いというだけで後遺障害等級に該当しないと判断が下るおそれがあります。
後遺障害等級審査との関係で通院期間が短いかどうかについては、交通事故のケガの問題にくわしい弁護士の無料法律相談をすぐ受けることをおすすめいたします。
早めに弁護士の相談を受けられることで、「手遅れ」を防ぐことができるケースもあります。
後遺障害診断は、定型の書式(後遺障害診断書)を医療機関に持参し、主治医の先生にご作成をお願いしますが、少なくとも自覚症状(痛みやしびれなどのことです)については、事前に被害者ご自身でまとめておくべきといえます。
また、ケースによっては、事前に、さらに注意しておくべきことがあります。
できあがった後遺障害診断書を医療機関から受け取ったら、これを相手方任意保険会社に送るか、又は、被害者ご自身で相手方の自賠責保険会社に対し郵送提出するかになりますが、相手方自賠責保険会社に郵送提出する場合には最低でもほかにいくつかの提出必要資料(画像、診断書・診療報酬明細書、印鑑証明書など)があります。
■すぐに弁護士に相談した方がいいと思われるケース
・くびの痛み、手も含めた上肢のしびれ、腰の痛み、足の指も含めた下肢のしびれが残っているケース
・頚椎(くびの骨)、胸椎、腰椎の圧迫骨折や破裂骨折と診断され、患部の痛みなどの症状が残っているケース
上記のケースでは、できれば最終診察前に、交通事故のケガの問題にくわしい弁護士の無料法律相談を受けた方がいいでしょう。
後遺障害診断にのぞむにあたり、これまでの経過で漏れがないかをチェックすることができますし、後遺障害診断の際に注意すべき点がわかるからです。
また、交通事故のケガの問題に極めてくわしい弁護士であれば、最終診察直前でも、ご相談のケースが後遺障害等級がつく見込みがあるか、後遺障害等級がつかず非該当となる公算が高いか について見通しを立てることができますし、作成された提出前の後遺障害診断書をみるとさらにくわしい見通しを立てることが可能です。
弁護士へ依頼するかどうかについては、弁護士費用がかかりますので、弁護士費用の負担をしても有益と考えられるかどうかで依頼を検討していただくことになるかと思います(弁護士費用特約があるケースもあります。)。
金田総合法律事務所の無料法律相談では、頚椎捻挫(むちうち)、腰椎捻挫のケースではMRI画像のCD-Rを、圧迫骨折や破裂骨折を受傷されたケースでは、レントゲン、CT、MRI各画像CD-Rをお持ちでれば、せひ、無料法律相談にご持参ください。
後遺障害等級の審査では、画像を重要視される傾向が年々強くなっている印象を受けております。弁護士が画像を確認して、後遺障害等級が認定されるかどうかの見通しをより精度高く立てていきます。
後遺障害等級認定結果に疑問がある
追突事故で受傷し、症状が残り、後遺障害等級の審査を受けたが結果が後遺障害非該当となり疑問を感じられたり、思ったより低い等級と感じられたら、交通事故のケガの問題にくわしい弁護士の無料相談を受けていただくのがよいでしょう。
交通事故のケガの問題にくわしい弁護士なら、出た結果が、不服申立てにチャレンジする価値があるのか、それとも結果はやむなしなのかを指摘することができると思います。
ただし、後遺障害等級に対する異議申し立て手続は、厳しい道であると言わざるを得ません。
追突事故で頚椎捻挫や腰椎捻挫を受傷したケースで後遺障害非該当となりやすい事情を以下いくつか挙げておきます。
●被害を受けた四輪車の損傷状況が軽微であった
●バイクや自転車で転倒していない
●通院頻度が少ない
●医師免許をもった医師が開設している施設(病院、医院、クリニック)ではない治療施設への通院が目立つ
●頚椎や腰椎のMRI画像で年齢変性所見すらうかがえない
異議申し立てをチャレンジする価値があるといえる場合、これを弁護士に依頼するかどうかをお考えいただくことになります。
追突事故でケガをした場合に得られる慰謝料額はどれくらい?
追突事故でケガをした場合に問題となる慰謝料には2種類あります。以下のとおりです。
●傷害慰謝料(基本は入通院の日数と期間をもとに算定していきますが、特別考慮するべきケースもあり得ます)
●後遺障害等級が認定された場合に認められる後遺障害慰謝料
傷害慰謝料ですが、入院なしで通院期間6ヶ月の場合、赤い本という資料によりますと、この別表Ⅰでは116万円、別表Ⅱでは89万円と記載されています(別表Ⅰと別表Ⅱの説明については当法律事務所の無料相談にてご説明いたします。)。
また、緑の本という資料によりますと、入院なしで通院期間6ヶ月の場合120万円と記載されていますが、軽度神経症状は通常の慰謝料の3分の2程度とするとの記載があります。
しかし、傷害慰謝料というものは簡単に金額を出せるとは限りません。通院状況、画像所見などいろいろな事情を考慮して考えていくものであることはご理解ください(そのほか個々のケースによっては慰謝料の増額事由というのもあることはあります。)。
後遺障害慰謝料ですが、後遺障害14級が認定された場合は裁判基準で110万円、後遺障害12級が認定された場合は裁判基準で280万円(ただし、赤い本は290万円)、後遺障害11級(たとえば、脊椎の圧迫骨折による変形が認められたケースが考えられます。)が認定された場合は裁判基準で400万円(ただし、赤い本は420万円)が目安です。
■追突事故で慰謝料が気になる方は弁護士に相談された方がいいでしょう。
最終示談の段階
こちらから請求をする場合、加害者側任意保険会社から金額提示がある場合にいずれかになります。
相手任意保険会社からの金額提示がきたら、弁護士の無料法律相談をうけていただくことをおすすめいたします。
当法律事務所では、追突事故示談の解決実績がたくさんありますが、以下、一部を紹介いたします。
第12胸椎圧迫骨折 変形 後遺障害8級認定後 2164万円を獲得
夫婦で後遺障害14級示談決裂も訴訟の和解を経て総額810万円獲得
頚部受傷の後遺症12級(加重障害) 弁護士加入後合計1062万円の損害賠償を受けた事例
追突事故を弁護士に依頼する際の費用
当法律事務所については、弁護士費用 のページをごらんください。
あくまで当法律事務所弁護士の私見ですが、追突事故で頚椎捻挫(むちうち)や腰椎捻挫を受傷したケースで弁護士費用特約がない場合、得られる見込みの損害賠償額と比べて弁護士費用の負担が大きくなりますので、後遺障害等級が認定される見込みがあるかどうかが弁護士ひ依頼するかどうかの一つのポイントであると思います。
ただし、追突事故にあい、脊椎の圧迫骨折など骨折を受傷したケースでは、治療中から損害賠償をみすえて進める必要があることや、得られる見込みの損害賠償額と比べて弁護士費用の負担を考えても弁護士への依頼が有益になることが多いといえることから、弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼することを検討してもいいと思います。
弁護士費用特約がある場合、多くは上限300万円の範囲でかかっている保険会社による負担がありますので、弁護士に依頼するハードルは下がるでしょう。もっとも、当法律事務所は、お聞きした事情によってはお受けできないケースもありますので何卒ご了承ください。