タクシーによる交通事故で取るべき対応を弁護士が解説
(令和7年11月21日原稿作成)
※ 以下、物損のお話については省略いたします。
タクシーによる交通事故で、事故の被害者となってしまう場合とは?
以下のような場合が考えられます。
1 被害者が歩行中や自転車やバイクや四輪車に乗車中にタクシーに衝突され、ケガをした場合
2 被害者がタクシー乗車中、タクシーが単独事故にあい、被害者がケガをした場合
3 被害者がタクシー乗車中、他の車両などと接触や衝突する事故となり、被害者がケガをした場合
タクシー事故でケガをした場合にまず重要なこと
これはタクシー事故に限ったことではありませんが、まずは 警察に連絡 をしてください。
他の当事者がすぐに警察に連絡をしている場合はともかく、このような気配がない場合、被害者からでも連絡をした方がいいです。
その理由は以下のとおりです。
交通事故の被害者側は、自分の主張しようとすることを基本的には証拠によって証明していく必要があります。
まずは、交通事故が発生したこと を立証する必要があるのです。
警察が事故現場に来て確認し、事故として扱ってくれたら、後日、「交通事故証明書」というものが発行されます。
「交通事故証明書」とは、交通事故が発生したことを証明する文書ですので、これを入手することにより、「交通事故が発生したこと」の証明資料を得ることになります。
もし、警察を呼んでいなかったら、相手当事者から事故など発生していないと反論される可能性があります。
警察を呼んでいなかったら交通事故が発生したことの立証は極めて困難であると言わざるを得ません。
タクシーによる交通事故でケガをしたら、誰とケガの話をすることになるのか?
つまり、交渉相手は誰かという問題になります。
タクシー会社のタクシーであることを前提に お話をします。
1 被害者が歩行中や自転車やバイクや四輪車に乗車中にタクシーに衝突され、ケガをした場合
2 被害者がタクシー乗車中、タクシーが単独事故にあい、被害者がケガをした場合
1、2の場合、タクシーの運転手ではなく、タクシー会社の事故担当者が窓口になります。
ただし、タクシー会社が入っているタクシー共済が窓口になるケースもあります。
任意保険会社が窓口になるケースは少ないと思われますが、当事務所がご依頼をお受けしたケースでは、タクシー会社事故担当者ではなく損害保険会社担当が窓口となっていたケースがありました。
3 被害者がタクシー乗車中、他の車両などと接触や衝突する事故となり、被害者がケガをした場合
(1)タクシー側が全面的に悪く、「他の車両」は過失ゼロの場合
上記1、2と同じ流れになります。
(2)「他の車両」が全面的に悪く、タクシー側は過失ゼロ場合
「他の車両」側と話をしていくことになります。他の車両の運転者になりますが、「他の車両」が加入している任意保険会社から連絡をもらうよう動くことが重要です。
(3)いずれか一方が全面的に悪いとはいえない場合
このような場合、過失が大きい側が窓口になることが多いと思われますが、わからないのであれば、まずはすぐにタクシー会社側にどうなるのかを確認してみるべきです。
交渉相手の窓口がわからないまま時が過ぎると、医療機関での初診を受診することをためらって時が過ぎてしまうおそれがあります。
そうなると、もしケガをしていても、そのケガが交通事故によって生じたものとは認められなくなるおそれがありますので、十分ご注意ください。
加害者側がタクシー会社であることのメリット(?)はあるか?
タクシー会社のタクシーであれば、ドライブレコーダーが搭載されていると思います。
事故状況や過失の有無・割合で争いになった場合、タクシー会社からドライブレコーダーの提供を求めて事故状況を明らかにするという方法があります。
過失の有無・割合を明らかにできるような映像があれば、問題解決に近づくと思われます。
ただし、被害者にとって有利な事情も明らかになる可能性があれば、不利な事情も明らかになる可能性もありますので、必ずしも「メリット」になるというわけではありません。
事故後に症状が出れば、すぐに医療機関を受診する
事故後、痛みなどの症状があれば、すぐに病院、医院、クリニックといった医師免許をもった医師による診療をしている施設に行き(もっとも、救急搬送される場合は必然的に医療機関に行くことになりますが)、医師の診察を受けてください。
上でものべましたが、初診が遅れれば遅れるほど、事故とケガとの因果関係を争われやすくなるからです。
医療機関への治療費の支払いについて
タクシー会社側が窓口になる場合、いったんは応じた医療機関への治療費の支払いを早期に打ち切るケースがあります。
このようなケースでは、交通事故のケガの事件にくわしい弁護士に相談された方がいいでしょう。
治療費の打ち切りが不当であれば、タクシー会社と粘り強く交渉をしていくべきと思います。
被害者が業務上や通勤中の事故であり、かつ、労災保険を使用すべきケースであれば、最初から労災保険を使用する旨の申請をしておくことで、労災の適用が認められれば、治療費の不当な早期打ち切りのリスクは減ると思われます。
タクシー会社が最初から治療費を払わないと主張しているケースも考えられますが、このような場合にとれる方法があるかどうかは、交通事故のケガの事件にくわしい弁護士にすぐに相談された方がいいでしょう。
症状が残った場合の後遺障害の問題について
交通事故でケガをし、治療を続けたが症状が残った場合、自賠責保険の後遺障害等級の問題が出てきます。
もし、相手方窓口であるタクシー会社側が後遺障害のことを教えてくれなかったら、これを知らずに示談をしてしまって終わりになるおそれもあります。
このように症状が残った場合には、交通事故の後遺障害問題にくわしい弁護士に相談された方がいいでしょう。
示談交渉について
タクシー会社側が相手窓口である場合、最終示談でも、被害者に対し、相場よりも低い金額提示しかされないおそれがあります。
相手方から金額提示が出た場合、署名捺印する前に、その金額が妥当なものかどうか弁護士に相談されることをおすすめいたします。
タクシー会社側が相手方となる場合、交渉が難航することも多いです。交渉が難航しそうな場合、こちらの主張が正当なのであれば、裁判までみすえることも必要と思います。








