交通事故で骨折された被害者の方へ(初診時の注意点)
交通事故で骨折を受傷した場合、初診は非常に重要です。
交通事故の被害にあい、骨折を受傷された方は、交通事故にあったその日(又は遅くとも交通事故にあった翌日)には病院に行かれるものと思います(交通事故にあった後、すぐに救急搬送されるというケースも少なくありません。)。
この病院での初診というのは、交通事故被害者の方にとって非常に重要です。
初診で被害者の方がきちんと伝えるべき事を伝えていれば、受傷がスムーズに快方に向かうということもあると思いますし、最終的に症状が改善せずに後遺症(後遺障害)の問題になったときでも、初診できちんと伝えられていれば、経過で必要な検査がしっかり行われて症状に見合った後遺症(後遺障害)等級認定に少しでも近づくといえます。
ところが、骨折を受傷するような大きな事故では、被害者の方が事故の瞬間を覚えていないということも少なくありません。また、初診では通常弁護士によるアドバイスを受けない状態であることがほとんどですし、何を言ったらいいのかわからないという状態も十分考えられます。さらに、骨折が非常に重くて、被害者の方一人で主治医の方と話をするのが到底無理な状況もあり得ます。ですので、なかなかうまくいくものではありません。
初診時の注意点について、以下、少しだけあげておきます。
初診のときには、事故の詳細、受傷までの具体的な動きをできるだけ、ていねいに主治医の先生に伝えましょう。
高エネルギー外傷による骨折であると捉えられた場合に、後遺症(後遺障害)等級認定判断の際に、より説明がつきやすいといえ、正当な等級認定に近づくといえます。
たとえば、上肢や下肢の関節付近の骨折の場合、関節機能障害(可動域制限)という後遺障害等級認定が非常に重要になってきますが、この関節機能障害が認定されるための第一歩として、そのような関節機能障害が発生するほどの高エネルギー外傷であったということをわかってもらう必要があります。
そのためには、被害者が初診で主治医の先生に、事故にあった状況をできるだけ事細かに説明する必要があります。
たとえば、バイクに乗っていた際に車に衝突されたというケースがあったとして、これについて伝えていただく必要があることを一部例示しておきます。
●事故発生場所の道路状況や被害者と加害者の進行状況(被害者が停止中であった場合も含めて)
例)交差点で被害者バイクが青信号で直進中、対向から右折しようとした加害者の車が衝突した
●衝突したとして被害者側のどの部分と加害者側のどの部分が衝突したか
●衝突後のバイクと被害者の動き
・衝突後、被害者の体はどう動いたか
・バイクや被害者自身が転倒したかどうか、転倒したとして体を打った部分があるかどうか車両の損傷状況がわかっていればそれも伝える
痛み、動作上の支障、外見上の変化などをしっかり主治医の先生に伝えましょう。
痛み、動作上の支障はもちろんのこと、出血、あざ、腫れ(はれ)など、体の外見上の変化(交通事故にあう前との違いです。)をもれなく主治医の先生に伝えましょう。医師の先生というのは例外なくご多忙であり、見落としを防ぐという観点から、被害者自身から気づいて伝えていくべきです。
※ あざ、腫れ、出血など外見上の変化については、その日のうちに写真にとって保存しておくべ
きです。
なぜこのような努力が必要になるかといいますと、事故後すぐの外見上の変化がある部位を見る と、事故態様(事故の衝撃の大きさも含めて)を裏付けることができたりするからです。
また、初診時に万一気づかなかった病変(たとえば、まだ骨折部位があった、靱帯損傷があった等)が早期に判明する可能性があるからです。
すくなくとも、上記のことをふまえて、必要ならば早期に画像検査(特にMRIやCTといった検査)が実施されるという流れになることが望ましいといえます。