【まとめ】交通事故紛争処理センター体験談~よくある質問に全て答えます~

示談交渉(損害賠償交渉)がまとまらないとき

示談交渉で、損害賠償金額に関し、相手任意保険会社の提示する金額と、被害者の主張する金額とに大きな開きがあり、示談交渉がどうもまとまりそうにないということがあります。

このような場合、損害賠償問題の解決方法には、民事裁判(訴訟)を提起するほか、交通事故紛争処理センターを利用することが考えられます(これ以外に民事調停制度などありますがここでは省きます。)。

以下、交通事故紛争処理センターの利用に関するQ&Aをご覧ください。

Q1 交通事故紛争処理センターとはどのようなところですか。

A 交通事故紛争処理センターは和解のあっせんをするところです。

それだけでなく、あっせんができないと、センターの中で審査手続に移り(必ず審査手続に行くとは限りません。)、センターの審査会が最終損害賠償金額(裁定)を出します。申立人(被害者)は、この裁定金額に応じるか否かを回答することができ、申立人が応じれば、センターと協定を結んでいる相手保険会社は裁定金額に応じることになるという手続があるところです。

以下、通常の流れの概略を述べますが、以下とは異なる流れになることもあります点ご留意ください。人身損害賠償事件で、被害者の方が弁護士に依頼されている場合に限定して申し上げます。

1)被害者代理人弁護士がセンターに連絡し(「申立人」といいます。)、相手方任意保険会社(相手方も弁護士に依頼している場合にはその弁護士が)と、センターに訪れる日時(センターが空いていると言った日時です。)を調整し、日時を決定します。

2)その訪れる日時までに、申立人は、損害賠償請求のための資料(主張を記載した書面と証拠のことです。)をセンターに提出します。

 ※第1回の訪れる日時は、センターに連絡してから概ね1ヶ月くらいですが、各関係者の予定やセンターの事件の混み具合もあり、それより早く入ったり、期間が空いたりします。

3)第1回目の訪れる日時からは、和解あっせんの手続が始まります。センターの各部屋には、各事件の担当となる弁護士(センターから委託を受けた弁護士です)が入室しています(この方は中立的な立場に立つ人です。)ので、その部屋に申立人側、相手方側が交互に入ります。センター担当弁護士が和解あっせん案を出すのに主張や資料を補充する必要がある場合には申立人や相手方が補充をします。

※その間、1日で終わらなければ、次回、次々回とセンターに訪れることになります(次の回までの間隔は、当事務所弁護士の経験上で申し上げます。)少なくとも1ヶ月は空くことになります(それ以上に空くことも少なくありません。)。

4)主張や資料の提出が尽くされれば、センター担当弁護士から、和解あっせん案(損害賠償金額の案です。)が出されます。

5)この和解あっせん案を双方が承諾すれば、そこで和解成立になり、損害賠償事件が終了します(後に損害賠償金の支払いがありますが。)。

この和解あっせん案を踏まえた更なるやりとりもありますが、結局、いずれか片方が承諾しなかった場合、審査請求が希望され、それが受理されると審査請求に移行します。

6)審査請求では、センターの審査会が裁定(損害賠償金額を出すこと)し、その裁定を申立人が同意すれば、センターと協定を結んでいる相手保険会社は裁定を尊重することになり、そこで終了ですし、申立人が同意しないとしてもそこで終了
するという手続です(この場合は、訴訟することになると思われます。)。申立人が同意するかしないかを回答する期限は定められます。

 

Q2 利用する場合、どこに申し立てたらいいのですか。

A 交通事故紛争処理センターは、東京本部、大阪支部をはじめとして、全国に11カ所あります。ただ、どこに申し立ててもいいというものではなく、管轄があります。

原則として申立人の住所地又は事故発生場所を管轄するセンターに申し立てることになります。

近畿2府6県は、大阪支部が管轄になります。
たとえば、被害者の方が京都府京丹後市にお住まいで、そこで事故にあわれたものの損害賠償交渉が進まない場合に、被害者本人が申し立てることにより交通事故紛争処理センターを利用されるとしても、大阪支部に申し立てて、大阪支部に出向かなければなりません。

当事務所では、ご依頼をお受けした事案で、大阪の交通事故紛争処理センターを利用することがあります。(大阪管轄の話とします。)当事務所が代理した場合、基本的には当事務所弁護士が大阪市内に出向きますところ(最寄りの駅が北浜駅又は淀屋橋駅になります。)、当事務所の所在地である京都市の四条烏丸からの交通の便は良く、助かっています。

 

Q3 弁護士に依頼しなくても交通事故紛争処理センターを利用できますか。

A 弁護士に依頼しなくても、被害者の方本人自身で利用することは可能です。

実際、当法律事務所弁護士もたびたび交通事故紛争処理センターを利用し、呼ばれるまで申立人待合室で待ちますが、弁護士に依頼せずに被害者ご本人が来られているのをよく見ます。

ただし、交通事故紛争処理センターの和解あっせんのステージは、訴訟(裁判)と同じ程度にきめ細かい主張と立証が必要だと思ってください。そうすると、被害者の方ご本人のみでセンターの手続を進めていくには、どうしても限界があると言わざるをえないと考えております。

金田総合法律事務所では、交通事故紛争処理センターを利用することもよくあります。ご依頼いただく被害者の方に弁護士費用特約がある場合はもちろん、弁護士費用特約がない方のケースでも利用した実績が多数あります。
もちろん、ご依頼をいただくかどうかという段階で、交通事故紛争処理センターを利用しての解決方法も選択肢の1つとしてあり得ることご説明し、弁護士費用を明確にご説明することにしております。

当事務所では、みなさまがご安心して当事務所弁護士にご依頼いただけるよう、努めております。

 

Q4 弁護士に依頼して交通事故紛争処理センターを利用した場合、被害者本人はセンターに出向かなくていいのでしょうか。

A(依頼された弁護士によっても方針が違うかもしれませんが)弁護士に依頼した場合、弁護士のみの出頭も可能です。ただし、センターから本人も出頭が望ましいと言われることもありますし、必要があれば弁護士と一緒にご本人にもセンターに来ていただくこともあります。

依頼された弁護士によっても方針が変わるところと思いますが、弁護士に交通事故紛争処理センター利用も依頼した場合、当法律事務所では、弁護士のみセンターに出向くことがほとんどです。この場合、被害者ご本人は、出向く時間と手間をはぶくことができます。

ただ、弁護士に依頼すれば被害者ご本人が来てはだめだということはありませんので、弁護士と同行することも可能です。
和解あっせんが、つめの段階になり、細かいやりとりが必要だなどといいうような場合には、弁護士とご本人が両方出向くケースもあり得ます。

さらに、和解あっせんが決裂して審査手続に移行し被害者ご本人から事情を聞く必要があると判断した場合など、ご本人が弁護士と一緒に出席することもあります。

当事務所では、交通事故紛争処理センターを利用するか否かの局面になれば、見通し、流れを丁寧に説明したうえで、ご相談させていただきますのでご安心ください。

 

Q5 交通事故紛争処理センター利用に費用は必要なのですか。

A 交通事故紛争処理センターを申し立てるのに手数料はかかりません。
ちなみに、裁判(訴訟)では、最初に、郵便切手や、請求金額に応じた印紙代を納める必要があります。

裁判では、300万円の請求をしようと思うと印紙代は2万円、500万円の請求をしようとすると3万円の印紙代がかかります。もっとも、弁護士費用特約の利用によりこれら実費もまかなわれます(もちろん、弁護士費用特約には上限がありますが)。

ただし、センターに申し立てるにしても、交通事故証明書等書類を取りそろえるのには当然実費がかかりますし、センターまで出向くには交通費がかかります。センターに電話で連絡したり、郵便を送る場合の費用も被害者の方が負担しなければなりません。

また、弁護士に依頼するにしても、弁護士費用はかかります(もっとも、弁護士費用特約を利用される場合には、多くの場合、被害者の方のお金の持ち出しなしで利用できるでしょう。)。

 

Q6 和解あっせんや審査とは?

※以下人身の損害賠償請求について申し上げます。

 A 和解あっせんとは

 交通事故紛争処理センターは、中立な立場で、まず、交通事故被害者と加害者(の加入する保険会社)との損害賠償の話し合いの中を取り持つところです。

まず一つの節目は、センター担当弁護士が、あっせん案(損害賠償金額)を提示することです。事前に資料を出しており、争点が少ない事件の場合には、第1回目であっせん案が出てくることもあります。

センター担当弁護士が出したあっせん案を申立人と相手方が検討します。申立人も相手方もその案で承諾すると和解成立ということになります。申立人又は相手方のいずれか一方が承諾せず、これ以上の和解あっせんが難しいと判断されれば和解あっせん手続は打ち切りになります。

 

A 審査とは

和解あっせんがうまくいかずに打ち切りになった場合、申立人又は相手方は、打ち切り通知を受けた後14日以内に審査請求の申し出をすることができます(相手方が審査の申し出をするには申立人の同意が必要になります。)。

審査請求が受理されれば、センターの審査会が事件を担当することになり、審査会は、センター担当弁護士や申立人・相手方から聴取したりして、検討し、最終に裁定を下します。

裁定とは、センターの審査会が、その事故の損害賠償金額を出すことです。その審査会が出した損害賠償金は、センターと協定を結んでいる相手保険会社はその裁定による損害賠償金を尊重することになっています。

他方、申立人は、この裁定の告知を受けた日から14日以内に、裁定に対し同意するかしないかの回答をすることになります。期限内に回答しなければ、同意しなかったものとみなされます。

申立人が同意すればその裁定での損害賠償金額での解決になり、同意しなくてもそこで終了します。

このように交通事故紛争処理センターは、センターと協定を結んでいる会社との関係では、相手型保険会社は最終の裁定で下された損害賠償金額を尊重するという意味で、損害賠償に関する紛争の最終的な解決手段の一つになります。

Q7 交通事故紛争処理センターを利用できない場合ってあるのですか。

 A 利用できない例をいくつかあげておきます

(利用できない例)
・自転車対歩行者や自転車対自転車の事故の場合の損害賠償案件
・人身傷害保険のようにご自身が契約されている保険会社との間での保険金の支払いに関する案件

(原則利用できない例)
・加害者が任意保険に加入していない案件
・加害者が加入している任意共済によっては、原則利用できないことがあります。

 そのほか、自賠責の後遺症等級認定に関し争いがある案件も、センターの利用になじまないといえます。

 

A センターで和解あっせんが行われない例をいくつかあげておきます

・和解あっせんの予約をした時点で、その件がすでに裁判や調停にかかっているケース
・センター以外ですでにその案件が最終解決しているケース
・不正請求などで和解あっせん申し込みがなされたと認められるケース
・申立人には損害賠償請求権がないと認められるケース

Q8 交通事故紛争処理センターのメリット、デメリットを教えて下さい。

 A 以下、いくつかあげます。
 

■ メリット
・全体的に、裁判をすることと比べて、解決までの期間が短いことが 多いといえます。争点の少ないケースでは特に短期間での解決が見込めます。

・裁判と違い、申立の際に手数料がかかりません。

・審査会による裁定で下された損害賠償金について、協定を結んでいる保険会社は尊重する運用になっています。

 

■ デメリット
・センターに申し立てても、被害者の損害賠償請求権の消滅時効は中断しません。

・センターでの解決には、遅延損害金、弁護士費用は考慮されません(民事裁判で被害者である原告の請求が全部又は一部認められる判決が下ると、遅延損害金や弁護士費用が認められます。)

 

以上のほかにもメリットやデメリットはまだありますが、これについては、当事務所にお越しいただいての無料相談でご説明いたします、。

また、どれくらいの金額で解決が図られている見込みがあるのかといった疑問をお持ちだと思いますが、これについては、どうしても個々の具体的ケースにより見通しが異なり得ますので、具体的な話は、当事務所にお越しいただいての無料相談でご説明いたします。

金田総合法律事務所では、損害賠償請求に影響するような事情をより細かくお聞きしたうえで、考え得る見通しを説明することにしています。

金田総合法律事務所では、交通事故紛争処理センターの利用経験をもとに、弁護士が感じているセンターの傾向、訴訟を選択するべきかそれとも紛争処理センターを選択するべきかといったこと、被害者の方のご意向などをふまえて、より適切な提案ができるよう日々つとめています。

 

 当事務所が交通事故紛争処理センターにて解決した実績はこちらです。 

交通事故紛争処理センター利用により合計約382万円で解決した事例

腰椎捻挫で後遺障害14級9号認定 治療費を除き305万円の賠償金が認められた事例

・第12胸椎圧迫骨折 変形 後遺障害8級認定後 2164万円を獲得

・交通事故紛争処理センター利用により合計約382万円で解決した事例